築年数32年の「Waikiki Beach Tower」とは?
前回の連載では、中古物件の取引数を見ながら、日米における不動産の違いをご紹介しましたが、その中で、日本では新築物件の人気が圧倒的に高くて流通量も多く、中古物件は価格の下落が激しいことが明らかになりました。
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しかしながら、米国やフランス、英国では、新築物件に比べ、中古物件の流通数はかなりの数に上ります。
では、1983年にハワイ・ワイキキに竣工したWaikiki Beach Towerと、これまでにご紹介したTrump International Tower Waikiki Beach Walkの価格差は、どのように変動しているのでしょうか。
ワイキキビーチからカラカウア通りを挟んだところに建つこのホテルコンドは、全室オーシャンビューを確保しており、すべてが2ベッドルームの間取りです。広さは95㎡から107㎡あり、ゆったりとした部屋になっています。眼前にビーチ越しの水平線を見ることのできる素晴らしいビューも持ち合わせていることから、ホテルとしての人気も高い物件です。
ホテルの1室として部屋をレンタルする場合は、アストン・ホテルズ&リゾートによって運営されます。
築年数は2015年時点で32年、39階建てで、総戸数は142戸です。1つ面白い点は、このビルの中に、「Leasehold(リースホールド、借地権)」として販売されている部屋と、「Fee Simple(完全所有権)」として販売されている部屋の、2種類が混ざり合っているという点です。
Trump International Tower Waikiki Beach Walkや、Ritz-Carlton Residences Waikiki Beachは全室がFee Simpleでの販売となっておりますので、今回は同じくFee Simpleの権利形態にて販売されている住戸に注目して比較していきます。
築浅物件と比べても大差ないスクエアフィート単価
MLS(Multiple Listing Service、不動産業者によって情報共有されている売買データサイト)のデータによると、Trump International Hotel Waikiki Beach Walk(以下Trump)の過去3年(2012年11月15日から2015年11月15日)に売買された物件の平均スクエアフィート単価は、1,564.04ドルでした。Trumpは2009年の11月に完成し、今月でちょうど6周年を迎えた建物です。
これに対して、1983年に完成した築32年のWaikiki Beach Towerを同じ条件で見てみると、平均スクエアフィート単価は、1423.71ドルでした。
築年数に25年以上差があるこの2つの建物ですが、販売される価格には1スクエアフィートにして約140ドル程度しか変わりません。
前回お話したように、日本では不動産の価値は築年数が経つにつれて一般的に下がりやすいと言われますが、米国、特にハワイの不動産においては、立地条件が良い場合、価値の下落が極めて少ない事が、TrumpとWaikiki Beach Towerを比較することで確認できます。
「借地権」不動産の多さはハワイの歴史的背景に起因
最後に、先に少しお話したLeaseholdについて簡単に見てみましょう。
ハワイでは、歴史的背景から、王朝がそのほとんどの土地を所有していました。その名残が現代においても続いており、王朝の流れを汲むビショップ財団が引き続き土地を所有し、以前は全体の85%程度もの土地を管理していました。
この様な状況の下、個人のオーナーが取得できる土地に限りがある中で、土地を長期間リースするという形態が広がりました。これが「Leasehold」です。
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土地の権利売買が法律によって勧められた期間もあったことから、現在はビショップ財団が保有する土地は以前に比べると少なくなり、「Fee Simple(完全所有権)」の不動産も増えましたが、それでも他の州と比べるとハワイでは「Leasehold(借地権)」の不動産が多くなっているのは、上記の背景からきているといえます。