スキルを「動画コンテンツ」にして、社員で共有・視聴
優秀な営業担当が持っているトークスキルは、間違いなくその会社が持つ資産であり、大きな力となっているはずですが、そのスキルそのものをコンテンツの形にして残すことは難しいかもしれません。しかしトークの内容自体は、動画コンテンツとしてうまく切り取ることで形を持った資産になります。
そのトーク例をホームカメラで撮影し、SDカードに記録したデータをパソコンで閲覧できるように変換し、イントラネットのページに掲載している会社もあるかと思います。しかし、これらは思いのほか見られないままになっています。
なぜでしょうか。それは営業担当者が内勤時は事務処理に追われ、ビデオをゆっくり見る気分にならないからです。見ようと思っても、どこにあるのかを探すところから始まると面倒になって、結局は見られないままになります。
以前、私が運営していたイントラネットでは、ビデオ付きフラッシュバナーで年間50本に及ぶ情報を提供し、理解をしてもらえるようにしていました。ブラウザを開けたときに最初にアクセスするイントラネットのトップページにバナーで重要な告知が出て、わずか10秒で多くのことを理解できるようになっていました。
ビデオ付きフラッシュバナーの場合、バナーをクリックするとバナー上で動画再生が始まります。前日の夕方6時にスタジオで撮影した内容を朝の9時に配信し、わずか30分間で対象者の大部分が閲覧していました。そのためのイントラネットのインフラ整備を、IT部門が本当に頑張っていたと今でも思います。
モバイル端末でイントラネットにある動画を見られるように、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を活用しアクセスできるようにしている企業もあるかと思います。しかしそれでも見てもらえないのは、やはり〝見る〞までの時間がかかるからです。
マーケティング部門や開発部門、本社関連部門の人に話をしてもらった動画をアップし、勉強のために見てもらおうとしたときも、これらの情報を営業現場で有効活用できる仕組みが必要です。
営業現場で動画を撮影し、利用できるITツールが必要
本社各部門による担当者の話は、社内向けだけでなく社外にも向けた説明内容にすると、ツボを押さえた説明ができ、興味を引きつけるコンテンツになります。
文字やスライドだけでなく動画によって、コンテンツの内容をより理解しやすくすることが可能です。では、そのときに必要な情報がタイムリーに営業現場にも動画で届くにはどうしたらいいでしょうか。
世の中には様々な商品がありますが、制作担当者が商品説明やつくった思いを語るのに最適なものとしては書籍があります。その内容は、つくり手と読み手の両方の立場から本の制作に関わった編集者に説明してもらうのが向いています。
タブレット端末に編集者がつくった書籍の説明文を集めたスライドがあり、営業担当はそれを持って書店を訪問して、置いてもらいたい本の編集者の画像をタッチして動画を呼び出します。それだけで本の内容が説明できるトークになります。
編集担当者が同じことを覚えて話せればいいかもしれませんが、何十冊、何百冊と本がある中で、すべてについて同じように詳しく話せるようにはなれません。新刊本が十数冊も一度に刊行されると、覚えられるスピードを超えてしまいます。
それに本に対する思い入れが最も大きいのは、やはり編集担当者です。例えば1分間で収録するためにあらかじめ話す内容をまとめておいてもらうというルールを決めておけば、後で動画を編集しなくてもよいので、コンテンツを作成する手間もそれほどかかりません。
かつては動画を撮影するためにスタジオを外部に借りたり、カメラクルーを手配して、時間も費用もかかりました。しかしそこまで高いクオリティーが必要なければ、スマホでもビデオ撮影ができる時代になりました。簡便な動画コンテンツを導入するハードルは非常に低くなっています。
すなわち、営業現場で動画を簡単に撮影して利用できるITツールがあると、知識とトークを高めるために役立つことになります。それぞれの会社で最も成果の出せる方法を考えることが必要になっています。