MRなど、資料の提示漏れが処分につながる業種も・・・
薬は人の身体に入って作用するだけに、使い方を間違えると大変なことになります。副作用の弊害にも配慮して投薬しなければなりません。そのために様々な規制やルールがあります。
製薬会社が医師に薬について説明をする際にも、この資料を見せたときには必ず別の資料も合わせて提示しなければいけないといった決まりごとがあります。紙ベースで説明するときにはMRが事前にルールに合わせてその準備をしておきますが、人間がやることである以上ミスを完全になくすことは難しく、場合によっては営業停止処分を受けてしまうおそれがあります。
デジタルコンテンツでは、ある説明をしたら必ずその資料に関連した別の資料に飛ぶように強制的に紐づけることができます。Aという資料の次にBという添付資料を出さないと、ほかのところに行けないようにすれば、見せるべきものを見せなかったという間違いがなくなります(以下の図表参照)。
[図表]プロモーションコード対応について
金融商品も、販売にあたっては必ずリスクについて説明しなければならないので、この話をしたら次にこのページに飛ぶというコンテンツのつくり込みが必要です。
程度の差はあっても業界ごとにこうした規制やルールは存在するので、営業だけでなくメンテナンスなどで顧客に説明をする場面では、タッチパネルとデジタルコンテンツの組み合わせを導入するケースが増えていくことが予想されます。私たちはそうしたルールのデジタルコンテンツ上での使い方の提案も行っていきたいと思っています。
特定の人へ、ピンポイントな営業ナレッジの提供も可能
ある医薬品メーカーでは、タブレット端末でスライドやコンテンツを共有し、ログを記録するところまでは今までの例と同じですが、さらにiPadのAirDrop機能を使ってその日使ったスライドを同じ部門や知り合いの営業担当者に送り、互いに現場であったことをシェアしています。
「今日の営業はうまくいったから、あの人にも教えてあげればきっと役立つだろう」とか「この医師にはこういうストーリーで持っていくのが有効だ」というノウハウを直接共有しています。
全社でスライドやコンテンツを共有することは全社的なナレッジとなりますが、それと合わせて特定の人にピンポイントで営業のナレッジを提供すると、その過程をいちいち言葉で説明しなくても、相手はすぐにその意図を理解して次の訪問から活用してくれます。
それまでも職場の雑談の中で、あの医師にこんな話をしたらこんな反応でどうなったという話題が出たことでしょう。それがデジタルの力でさらに伝わりやすくなります。
パワーポイントのファイルをメールで送ってもシェアできるように思えますが、同じことが同じ労力では実現できません。ましてやトークも動画で共有して教育に生かす時代になったと思います。これはパワーポイントでは簡単にはできません。
タブレット端末同士の通信機能を使えば、添付してメールを送るよりも時間がかかりません。営業担当者は忙しいので、少しでもハードルを低くする方法を選んでいるのです。
特定の相手にこの情報が必要だと分かっている場合は、わざわざ全社で共有するためのデータに落としてから改めて拾ってもらうことは必要ありません。このITや通信技術の活用法は利用者の方から自然に発生したものですが、ほかにもデジタルの機能を生かした新しい活用法が出てくるでしょう。新しい時代の新しい営業活動を補う仕組みの活用が始まっています。