複数回にわたる営業は担当の大きな負担に・・・
建設工事や情報システム構築のように受注から完了までの工程管理が発生する仕事では、必ず進行スケジュールを立てます。しかしプロジェクトの途中では、スケジュールの組み換えがつきものです。ことに本書の出版のように著者である私の都合に左右される場合、想定通りに進むことはなかなかありません。
大規模なシステムのプロジェクトマネジメントは別として、簡易な進行スケジュール表であれば営業部門でエクセルで作成することが多いと思います。このときの進め方を見てみましょう。
営業担当やプロジェクト担当が顧客のスケジュール表をプリントして持参して打ち合わせを行っても、当日修正されたスケジュールの確定がその場でできず、持参した進行表に手書きで書き込んで会社に戻ってファイルをつくり直し、またプリントアウトしたものを持っていって説明してようやくOKが出る――。
一度のスケジュールの見直しのたびに、こうした手順が必要になります。場合によっては、この作業を何度も繰り返さなければなりません。営業なら誰もがこのスケジュール表をクライアントの目の前で修正しながら確認してもらって、一発でOKがもらえたら効率的だと思うはずです。
タブレットによって「合意形成」の訪問が一度で済む
ではタブレット端末に進行表の画面を指で操作できるツールが入っていたらどうでしょう。
紙の表に書き込んだり、言葉で説明しただけだと全体のスケジュールがどう変わるのか把握しにくいので、どうしても「もう一度つくり直してお持ちします」となってしまうのですが、その場で工程を伸ばしたり縮めたりするところが見せられれば、一度の訪問で組み直し作業と顧客からの確認が完了し、その結果を反映したスケジュール表が完成します。
優秀な営業担当者はこうした調整がうまいのですが、経験が浅い人でもこの方法で効率を高めることが可能となります。
このようにタブレット端末に合わせたツールを用意することで、それまで合意形成のために何回も訪問していた案件が一度の訪問で済みます。これが対話しながら使えるシステムの大きなメリットのひとつです。
顧客と合意した進行スケジュール表のデータは、そのまま会社の他部署とも共有することができます。もう修正するたびに関係者にメールでエクセルのデータを送らなくても済みます。修正スケジュールを見た売上管理の部門ではその時点で売上計画を変更し、生産管理部門は生産計画を再検討できるので、こちらの対応もスピードアップします。
先の例はスケジュール管理でしたが、動画を含めたコンテンツをたくさん持っていれば、なおのこと理解が深まり、その場での成果に結びつく可能性が高くなるのではないでしょうか。コンテンツが視覚的であり理解を加速することができるのです。営業担当者の負担を軽くしてストレスも取り除きつつ、成果を出すことを目指す。それがITを活用した新しい時代の営業スタイルです。