ログが残るため、日報や記録の作成が容易に
今、世の中にあるSFAを代表にする営業支援ツールは、顧客訪問予定と訪問時の結果の報告を営業担当が入力しています。そのため肝心な実際の面談時の情報について会社が得られるのは、営業担当の報告のみになります。
例えば、ある訪問先で複数の商品を紹介したときに、何を紹介したか、どういう会話をしていてその商品の話になったのかを、営業担当はその日のうちなら記憶しているでしょう。
しかし前回の訪問から少し間が空くと、どの商品についてどこまで話したかがはっきりしなくなります。20件以上ものクライアントを抱えている担当者になると、誰にどの話をしたかも曖昧になります。
その点、使用ログがとれるITツールであるタブレット端末を現場に持ち出して使えば、実際にどのスライドやどのコンテンツをどういう順番で取り出したかという経過がログとして自動的に作成できます。
SFAへの記録はしばしば商品についてのみになります。しかし使用したコンテンツの記録(ログ)を見返せば、その経過をより細かく思い出すことができます。
さらにそこに、ログには残っていない先方の反応などを付記すれば、もう会社に帰ってから苦労して日報を一から書かなくても済みます。営業担当は、後から自らキーボードを叩いて日誌を書く手間が大幅に軽減でき、しかも客観的な内容の記録が残ります。その分、より現場での仕事にエネルギーを傾けることができます。
そのログと加筆したコメントを会社のデータベースに蓄積していくと、顧客管理をするためのCRM用のデータベースになり、商品に対する顧客の反応を示す情報としてマーケティングや次の開発に生かすことができます。
正確なデータの取得で営業担当者の業務を効率化
このデータは営業担当が一から書いた日報とは違ってログデータがベースになっているので、どの営業担当でも同じ基準で記録されていきます。
日報も書き手によってとらえ方や表現に偏りがあるので、多くの営業部門のマネージャーは書き手の顔を思い浮かべながら適当に修正して読んでいます。この人だから、たぶん現場ではこうしているのだろうと言葉の裏を読み取る努力をしています。
ある会社の営業部長さんは、「どう考えても嘘だと分かる日報もあるが、本人なりに努力しているだろうから書いてあることを信じてやらないとかわいそうだ」と苦笑しながら語っていました。
これは日誌を書く方も読む方も、余分な時間や手間をかけて生産性を下げていることにほかなりません。営業マネージャーの仕事としては理解できなくもありませんが、マーケティングのデータとしては信頼できません。
ならばむしろ記憶に頼らずに、単純にログデータだけを参照すればいいと割り切った方が良いのではないでしょうか。これまでより多くの正確なデータが取得でき、営業担当者の業務も効率化されます。
営業担当者が扱う情報量が10年前よりもはるかに増えているので、営業担当者が現場に意識を集中させるために、営業担当者の負担を軽減させることをもっと考えるべき時代に来ていると思います。