「お金を支払った」事実が証明できるものがあればOK
取引先が主催する会費制のパーティーなどに出席した場合、領収書の発行を頼みづらいこともあるでしょう。また、仕事上の付き合いで慶事や弔事に参列した際のお祝い金や香典も、当然ながら領収書をもらうわけにはいきません。
このような場合でも、その出費を税務上、適切に処理することは可能です。要は、「お金を支払った」という事実が証明できるものがあればOKなのです。
取引先のパーティーで支払った会費なら招待状が、新年会や忘年会なら開催を告知するメールのプリントアウトが証明になります。お祝い金や香典は、袋の表書きをコピーしておきましょう。領収書を発行してもらえなかった場合でも、すぐにあきらめず、お金のやりとりを証明できる材料を探してみてください。
領収書には「法律で決められたフォーマット」はない
領収書には、「絶対にこれでなくてはいけない」と決められたフォーマットがありません。
文具店などで市販されている領収書の用紙を使ってもいいし、ワードやエクセルを使って自分で作成してもかまいません。ネット上には、ダウンロードして使える領収書のテンプレートも数多く公開されています。
ただし、「最低限これだけは記入されていないと領収書として認められない」というものはあります。書式についての決まりはありませんが、書き方や記載内容については決まりがあるということです。
領収書に必ず記載すべき項目は左図の通りです。
これらさえ明記してあれば、書式や体裁にかかわらず、領収書として成立します。何度か述べてきたことの繰り返しになりますが、「お金のやりとりがあった」という証明さえできればいいからです。
法的にOKでも、ずさんな印象を与えるものは避ける
では極端な話、A4のコピー用紙に手書きでこれらの必要項目を書いたとしても、領収書として成立するのでしょうか。
法的に言えば「成立する」ということになるでしょう。
ただし、税務調査が入ったときのことを考えると、そのような領収書は避けたほうがよいのは誰にでもわかるはずです。
まるで走り書きのメモのような領収書が何枚も出てくるようでは、その会社のお金の管理そのものがいい加減に行なわれているような印象を与えてしまうのは言うまでもありません。
やはり領収書は、世間で一般的に使用されている書式やフォーマットに準じたものを使うとよいでしょう。
[図表]領収書を発行してもらえない場合は?
図版・イラスト:桜井勝志