病院建築時に「患者の要望」を収集するのは難しい
企業が販売計画を立てるとき、無視できないファクターといえるのがCS(Customer Satisfaction)です。一般にCSのC(Customer)は顧客を指しますが、病院にとっては当然のことながら「患者さん」になるはずです。
しかし、実際の病院建築では、患者さんの満足度の計測はおろか、要望や期待を収集するのは容易なことではありません。
確かに、病院によっては建築にあたって地域住民代表や患者さん代表の声を聞く機会を設けることもありますが、それでも吸収できるのは一部の患者さんの意見です。多くの病院建築現場では、患者さんのニーズをすくい上げきれないまま、建物・施設づくりを進めているのではないでしょうか。
もちろん、医師や看護師らの医療スタッフは、日常的に患者さんと接していて、ナマの声を吸収しているはずですが、では、どんな建物がよいか、ということになると、専門外の領域ですから、貴重な意見をなかなか反映させることができません。
カフェレストランの設置が不満解消に役立った例も
そこで大事なのが、患者さん目線で病院建築に参加する、実績豊富な設計会社の病院設計タスクチームです。
多くの病院建築を手掛け、竣工・開院後のアフターフォローをきめ細かく実施している病院設計のプロ集団ですから、どうするとどんな患者さんにとって使い勝手がよいか、よくないか、様々な経験やデータを蓄積しています。そうして次の病院設計に活かしながら、つねに最新の情報をもっているのです。
たとえば、厚生労働省「受療行動調査」中の『項目別にみた外来患者の満足度』によると、相変わらず『待ち時間の長さ』への不満が大きな割合を占めています。
待ち時間に対する不満が大きいのはよく知られたことではありますが、それを病院という建物においてどう解決するか。その病院にふさわしい方法を知っているのは、設計会社の病院設計タスクチームにほかなりません。
たとえば、待合ゾーン付近にカフェレストランを設置し、そこで待ち時間をゆったりと過ごせるようにしたことで不満解消を図った病院もあります。
[図表]項目別にみた外来患者の満足度