今回は、一括借上契約における「6つのポイント」について見ていきます。※本連載では、フィルコ株式会社 代表取締役・芝辻保宏氏の著書、『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』(株式会社澪標)の中から一部を抜粋し、不動産賃貸経営における、「管理会社への委託」と「自主管理」、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

新築時から契約を締結することもある「一括借上契約」

「最近、建設会社の営業マンが頻繁に足を運んでくれてね、賃貸アパートを建築しませんかって言うんだよ。

 

話を聞いていると建設会社か管理会社が一括借上契約ってのをしてくれるので、空き部屋が出ても心配ないし、何もかもお任せだから私の手間がないんだって。

 

20年もの長期間で契約してくれるし、将来の年金代わりに収入を増やすことができるって言うし。テレビコマーシャルなんかもしてる大手の建設会社だし、もう少し詳しい話を聞こうと思ってるんだ」

 

「20年間一括借上契約だから安定収入で大家さんも安心!」などという謳い文句は賃貸経営をされていない方でも耳にされたことがあると思います。

 

大手の建設会社、大手の不動産会社が新聞広告やテレビコマーシャルなどで大々的に宣伝している一括借上契約。

 

実際に○○年間の一括借上契約をされている方もたくさんいらっしゃることでしょう。

 

一括借上契約のメリットは

 

□空き部屋があっても家賃が入ってくる

□家賃滞納があっても家賃が入ってくる

□全部お任せだから手間がかからない

□安定収入で安心

 

こんなところでしょうか。

 

一括借上契約は一般的にはマンション・アパートの新築時から契約を締結します。場合によっては建物を建築する計画の時点で一括借上契約の約束をされることもあります。

 

これは新築のマンション・アパートを建築計画する時点で建築費用の融資が承認されやすくなるよう建設会社が提案するケースがほとんどだからです。

 

融資をする金融機関からすると「長期的に安定収入があって、毎月の返済が滞らない」ことが重要でありますので、大手の企業が一括借上契約をするのを条件に融資を承認されることもあります。

 

また、最近ですと中古(新築ではない建築後数年経った既存の建物)の一棟物件でも一括借上契約があります。所有者変更のタイミングや管理会社への不満による管理会社変更などで一括借上契約を提案してくる管理会社も少なくありません。

賃料設定の「90%程度」の金額で賃貸借契約を締結

では、一括借上契約は事業主様にとって最適なものなのでしょうか。

 

 

一括借上契約にはポイントが6つあります。

 

●一括借上契約6つのポイント


(1)借上料率と査定賃料
事業主様は管理会社が査定した賃料設定の90%程度の金額で賃貸借契約(マスターリース契約)締結する。


(2)転貸借契約の条件
管理会社は相場の賃料にて賃借人(転借人)との間で賃貸借契約(サブリース契約)を締結する。


(3)契約開始時の免責期間
新たに賃借人(転借人)を募集している一定期間は賃料支払いの免責期間を設ける。(例:新築時、募集開始後3ヶ月間は管理会社から事業主様への賃料の支払いは免除。4ヶ月目から賃料支払義務が生じる。)


(4)空室発生時の免責期間
賃借人(転借人)が解約、退去した時は更に1ヶ月分賃料支払いの免責

 

(5)賃料見直し
○年毎の賃料改定

 

(6)原状回復費用、他事業主の負担
賃借人(転借人)入れ替え時の原状回復費用(内装工事費用)は事業主様負担

 

この条件を見ていかがでしょうか。これが一般的なケースですので、同じような内容で契約をされている方も多いでしょう。

本連載は、2017年6月10日刊行の書籍『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』(株式会社澪標)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

賃貸マンション 管理会社VS自主管理 ~大空室時代を生き抜く賃貸経営術~

賃貸マンション 管理会社VS自主管理 ~大空室時代を生き抜く賃貸経営術~

芝辻 保宏

株式会社澪標

人口の減少、住宅の供給過多の中、不動産賃貸経営はより一層厳しい環境にさらされています。 これからの賃貸経営の勝ち組になるにはどうすればいいのか。不動産業界に20年以上携わってきた筆者が不動産賃貸経営における悩みを…

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