今回は、賃貸物件を「自主管理」するメリット・デメリットについて見ていきます。※本連載では、フィルコ株式会社 代表取締役・芝辻保宏氏の著書、『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』(株式会社澪標)の中から一部を抜粋し、不動産賃貸経営における、「管理会社への委託」と「自主管理」、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

賃貸経営は「いかに余分な費用をかけないか」が重要

管理会社に委託せずに自主管理をする大家さんはなぜ自主管理をするのでしょうか。

 

 

このような理由が大半です。ここで明らかなのは「費用(コスト)」です。

 

不動産賃貸経営において、いかに余分な費用をかけないかは重要なポイントです。

 

不動産管理会社へ支払う委託費用は業務内容からするとコストパフォーマンスは良く決して高くないと説明いたしましたが、家賃が下落している昨今その費用を捻出することも厳しくなっている方も増えてきています。

 

日常の清掃費用、定期的なメンテナンス費用、各種修理業者の費用も、大家さんが信頼できる業者と直接手配することができれば、中間マージンのような余分なものがかからず費用を抑えられます。

 

物件の近くにお住いの大家さんであれば清掃や軽微な修繕はご自身でされて、費用を抑えている方は多くいらっしゃいます。

 

また、自主管理するということは物件の全てのことを把握することになりますので、物件の状況や入居者の状況、過去の問題点や修繕履歴などご自身で正確にチェックできますので、物件に対しても愛着を持てるのです。

経験値が少ない大家さんは、自主管理が負担に・・・

自主管理に感じるデメリットまたは自主管理をしていたがやめた方はどのような理由があるのでしょう。

 

 

このような理由が大半です。ここでのポイントは「経験値」と「精神的安心感」そして「時間」にあります。

 

大家さんによって、物件の数も家賃収入もバラバラです。「経験値」については書籍『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』管理会社の章で説明した通り、かなりの場数を踏まないと経験値は上がりません。

 

先祖代々大家業で生計をたて、多数の物件を所有している方はある程度の経験値はおありでしょうが、大半の方は経験値が少ないものです。

 

経験値が少ないということは、管理に関する経験だけでなく、ネットワークも乏しいので、修理修繕の業者や空室を埋めてくれる不動産仲介会社などの業者選定においても難しいといえます。

 

空室を埋めるノウハウについては時代とともに手法も変わってきております。満室経営は不動産賃貸経営の第一歩なわけですからこの部分に関して惜しむべきところは何一つないでしょう。

 

また、建物の設備や室内の設備なども時代とともに変わってきています。コンピューター制御やコンパクト化により、その中身は複雑になってきています。

 

簡易な水栓器具のパッキン交換程度であれば大きな技術は入りませんが、多種多様化された設備の修理やメンテナンスにおいてその方法も多岐に渡りますので、専門業者に任せる必要があります。

 

これらの業者選定においてもやはり「経験値」がものをいうのです。

本連載は、2017年6月10日刊行の書籍『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』(株式会社澪標)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

賃貸マンション 管理会社VS自主管理 ~大空室時代を生き抜く賃貸経営術~

賃貸マンション 管理会社VS自主管理 ~大空室時代を生き抜く賃貸経営術~

芝辻 保宏

株式会社澪標

人口の減少、住宅の供給過多の中、不動産賃貸経営はより一層厳しい環境にさらされています。 これからの賃貸経営の勝ち組になるにはどうすればいいのか。不動産業界に20年以上携わってきた筆者が不動産賃貸経営における悩みを…

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