クレーム、空室率・・・自主管理による「ストレス」とは?
前回の続きです。
「精神的安心感」
悪質クレーマー、モンスターペアレント……このような言葉を使われるようになったのは2000年代に入ってからでしょうか。一説ではインターネットやスマートフォンの普及による通信手段の発達により場所を問わず苦情を言える環境になってきたこともクレーマー増加の一端と言われています。
現代はストレス社会と言われていますが、不動産業者からの時間を問わない電話や入居者の心無い言葉により精神的な苦痛を受けられた大家さんは少なくありません。
書籍『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』管理会社の章で触れましたがマンション管理業はクレーム産業と揶揄されています。
管理会社の社員がストレスを受けて、病気になったり、離職するものも少なくありません。管理のプロであってものこのようになるわけですから、この悩みは深刻です。
また、空室が多くあったり、空室期間が長引くというのもストレスを感じます。
家族で出かけていても、食事をしていても、入居申し込みの連絡がこないかどうか電話が気になって仕方ありません。そして電話が鳴ったかと思うとクレームの電話だったり。
このように電話というのは固定電話から携帯電話が普及し便利なツールでなってきましたが、良い話だけでなくに悪い話(クレーム)も否応無しに入ってきますので、一気に気持ちが滅入ってしまうこともあります。
このように苦痛を強いられている大家さんは「精神的安心感」を求めて自主管理をやめられるようです。
副業大家さんは、管理に「時間」を費やすのが難しい
「時間」
1日24時間は人が生活をする中で共通のものです。当たり前のことですが、この限られた大切な時間をどのように使うかは人それぞれの考え方により異なります。
仕事に時間を費やす人、家族との時間に費やす人、余暇や趣味に費やす人。ご自身の環境や経済状況、人生設計によって様々な時間の使い方があるでしょう。
もともとお勤めをされていながら相続や代替わりなどにより大家さんになった方や副業として不動産投資をされているいわゆるサラリーマン大家さん、専業主婦の大家さん、これらの方は大家業を専業としているわけではありませんので、賃貸経営や管理に時間を費やすことは難しいので管理会社に任せざるを得ません。
大家業が本業の方であれば、賃貸経営や管理に時間を費やすことができるでしょう。
トラブルは未然に防ぐことができるものもあれば、必然に起こるものもあります。いくら対応する準備をしていたとしても、いざトラブルがあった時に取られる時間、各種電話の受付や応対に要する時間など「経験値」が少ないと無駄に「時間」を費やすことになりやがて「精神的苦痛」を感じることになります。
また、高齢により若い時よりも動くスピードが衰えてきた大家さんや、旅行に行かれたり家族との時間を大切にしたい大家さん、旅行や自分の趣味のために費やす時間が欲しいと思われている大家さんもたくさんいらっしゃいます。
このように自主管理は、幾分かの「費用」を節約することができる反面、ご自身の「精神的安心感」と「時間」を奪われます。
反面、管理会社に委託することで必ず「精神的安心感」と自由な「時間」を得られるかといいますと、必ずしもそうとは限りません。
そしてこれからの「大空室時代」では、管理会社に委託する費用が捻出できなかったり、管理会社が管理を受託してくれない大家さんも増えてくると考えられます。
管理会社に委託しているが不動産賃貸経営がうまくいっていない、自主管理を長年してきたが不動産賃貸経営がうまくいかない、このような大家さんにとって不動産賃貸管理をどのようにすればいいのでしょうか。
[図表]管理会社VS 自主管理 まとめ