一人の営業担当者で「10〜20棟」もの物件を管理
大企業不動産管理会社のスケールメリットが大きいことはお話ししましたが、全てにおいてメリットがあるわけではありません。
私が勤務していた会社もグループ会社が東証一部上場会社で、勤務先の会社は上場こそしていませんが、社員数500名を超える会社でしたので、それなりの規模の会社でした。
企業が大きくなるとスケールメリットは出てくるものの大企業が故のデメリットがあります。
(1)分業制
管理をする物件数が増えてくると問題になってくるのは人手です。一人の営業担当者が担当する物件数は10〜20棟、300戸から500戸程度はお話しましたが、条件により異なります。おそらく各会社の営業マンに一人一人話を聞いても答えが違ってくると思います。それは会社によって業務の分け方が異なるからです。
管理会社の業務を再度おさらいしましょう。
人数の少ない管理会社ならばこれらの業務を全て一人でこなさなければいけないでしょう。
大手管理会社の場合、これらを分業している会社が多くあります。例えば
①募集業務と ②契約業務を 仲介担当の部署
③契約更新業務と ④集金業務を 事務担当者
⑤窓口業務 電話担当・コールセンター
⑥解約精算業務 営繕担当
⑦建物設備管理 など
大きく分業している会社もあれば、さらに細かく分業している会社もあります。
分業制により、管理会社の総管理戸数は増えるが…
分業制のメリットは効率が良くなることです。ある程度業務の幅を絞ることで覚える内容も限られますし、同じ仕事を続けてすることで、業務になれることが早くなりますので、専門業務のスキルアップのスピードも速いのではないでしょうか。
これにより、業務のマニュアル化も可能になり、業務に携わる人員の教育やコストを最小限に抑えることができます。
業務の効率が良くなると各担当者が管理できる物件数も増やすことができますので、一人で全ての業務を見ている場合と比べ、総管理戸数は増やせることになります。
しかし、業務の細分化・マニュアル化による弊害もあります。マニュアル化によりシステマチックになることが、対人の商売である不動産賃貸業に適しているのかどうか。顔が見えない営業というのはなかなか難しいものです。
クレーム事案一つとっても、事務的な対応をすることで対人関係から二次的に被害が広がる場合もあります。