やりがいを感じられず、早々に退職してしまう従業員も
前回の続きです。
(2)社員の定着率
さらに難しいのは業務を長く続けるためのモチベーションを保てるかです。毎日毎日同じ仕事をしているようでは、効率は良いのですがその仕事にやりがいを感じるのは難しいものです。
特に解約精算業務や営繕というと入居者との電話でのやり取りが多くなり、また内容もどちらかというと大家さんにとってはマイナスの話やクレームに発展することも多く、仕事とはいえ気分の良いものではありません。
マイナスのイメージを持った仕事というのは生産性が上がりませんので、他の部署と比較しても、行きたくない部署となるでしょう。
管理業はクレーム産業ということをお話ししましたが、実際に管理会社に勤めることによって、うつ病など精神的な病になる方も少なくありません。
そして給与体系も厳しいものがあります。給与査定者が仕事の評価をどのように、どの程度してくれるかも仕事のモチベーションの一つになりますが、業務が異なると同じ部署にいながら給与体系や査定するポイントを定めるのが難しく、なかなか誰もがわかりやすい評価体制にするというのは難しいものです。
効率を上げるための分業、マニュアル化はいいことなのですが、本来の不動産賃貸業という観点と生産性やモチベーションを保つためには何かと難しいところではあります。
このようなところから社員が早期に退職する会社が多く、社員が定着しないことが悩みになります。
同じ会社に頼んでも、担当者によって空室率に差が・・・
(3)サラリーマン担当者
管理会社に委託することで最も重要なのは大家さんの担当が誰になるかということです。名のある大手不動産管理会社だから安心だと任せてみても、いざ担当者の能力が異なると全く別の結果になります。
不動産賃貸管理会社の社員はあくまでもサラリーマンであり、大家さんが担当者を指名することはできません。10年以上の経験のあるベテラン社員が担当することもあれば、入社3ヶ月の新入社員が担当になることもあるでしょう。
もちろん業務効率化の為にマニュアルをしっかりしていて、「我が社は社員教育が行き届いているので、入社数ヶ月でもベテラン社員に引けを取らないスキルがありますのでご安心ください」などと言われることもあるでしょう。
確かに専門知識を共有して持っておりますし、わからないことがあれば社内に相談できる社員はいくらでもいると思います。それでも実際に行動に移すのはその担当者になりますので、結局はこの能力や意識の違いで不動産管理の差に影響してきます。
同じ管理会社に任せているのに担当者によって空室が多かったり、入居者からのクレームが多かったり、提案力の違いにより物件の商品力が異なるケースは多々見受けられます。これらのことは大家さんに直接跳ね返ってくることですので、同じ管理委託料を支払っているのに同じレベルのサービスを受けられないということになります。
ある担当者は会社から残業時間を制限されているにもかかわらず、仕事にひたむきで、残業の毎日を送る者もいます。あるサラリーマン担当者は自分の給料に見合った仕事しかしません。残業代も出ないので、残業することもありません。分担業務で日々やってくる業務を粛々とこなしていくだけで大家さんや関係各社、お客様の顔など見えていない会社もあります。
自分の給料に見合った仕事というのを自分で線を引いて自己満足をしているサラリーマン担当者がどれだけ多いことでしょうか。
重要なのは『大家さんの立場に立ったものの考え方をどこまでできるのか』です。志を持って仕事に取り組んでいる方もいますので、そのような方が担当についてくれるのが望ましいです。
不動産管理会社にとって、大家さんはお客様ですからお客様の為に誠心誠意業務を遂行しているのは当然です。もちろん支払った対価なりの仕事をしてくれれば契約違反でもないですし、対価以上のものを求めるのは酷かもしれません。
しかし、動いてくれる担当者はあくまでも企業側の人間です。個々の大家さんのことよりも企業の利益といかに効率よく業務をこなすかだけを考えているところが大半なのです。