前回に引き続き、賃貸マンションのメンテナンスを管理会社へ委託するメリットを見ていきます。今回は、リーシング等について取り上げます。※本連載では、フィルコ株式会社 代表取締役・芝辻保宏氏の著書、『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』(株式会社澪標)の中から一部を抜粋し、不動産賃貸経営における、「管理会社への委託」と「自主管理」、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

空室募集時の成約手数料は「賃料の1ヶ月分」程度

前回の続きです。

 

(3)リーシング(空室募集)業務は、管理系会社と仲介系会社とでは性質が異なりますので、金額も比較しづらいところはあります。

 

一般的に多いのは空室募集時の成約手数料(広告に要する費用)は賃料の1ヶ月分相当額です。管理系の会社の場合、仲介店舗を持たない会社が多いので空室情報を他の不動産仲介会社に公開し、広く募集活動を行います。その結果、管理会社からお客様を紹介してくれた仲介会社に対して成約手数料を支払います。

 

一昔前はこのように成約手数料を仲介会社に支払うことはありませんでしたが、時代の流れにより「仲介会社数の増加による競争激化」「空室数の増加による競争激化」が生まれ手数料の配分が変化してきました。

 

これは、仲介会社がお客様(入居希望者)を自社で成約しようとするが為に、成約時の報酬としていただく仲介手数料を賃料の1ヶ月分から0.5ヶ月分にしたり、ある会社ですと0ヶ月分(無料)にされたりしています。

 

近年、お客様も情報収集に長けており、自身で物件の情報を収集し、数社でお部屋を内覧した後希望の物件を選ばれ申し込みをするのですが、この申し込みはどこの不動産仲介会社でもできることを知っているのです。

 

仲介会社によっては、「他社で見られた物件も当社でも仲介可能です」などと大きく謳っている会社もあり、営業マンも自らが案内せずとも申し込みを受け付けるということもあります。

 

このようなことをして集客をしようとすると、お客様も同じ手数料を支払うなら安い手数料の方の会社へと流れて行きます。

 

これが元になり各社はお客様からいただく仲介手数料の値下げ競争に陥ってしまったのです。

募集時期・競合物件の状況等を加味して決定

そして、仲介会社がお客様からいただく報酬を減らした分、補うのが大家さんまたは管理会社から支払われる報酬です。

 

仲介会社もこの報酬が多い物件を優先にお客様に紹介したり、会社によっては報酬が賃料の2ヶ月分以上出ない物件は紹介しないなど、徹底しているところもあります。

 

すなわちこの成約時の報酬については自らの物件力もさながら、募集時の時期や他の競合物件の状況等も加味して決めなければいけませんので、一概にこの金額が高いか低いかとは言えません。

 

ただし、管理会社によっては、大家さんから頂いた成約時の報酬を丸々右から左へ仲介会社に支払う会社もあれば、例えば1ヶ月分の成約時報酬を0.5ヶ月だけ自社に残し、残りを仲介会社に支払うというところもありますので、このあたりが大家さんのコストに関わってくるところです。

 

管理委託費用を総評するとこれらの業務に関わる人件費等を考えますとコストパフォーマンスは比較的高いでしょう。

 

本連載は、2017年6月10日刊行の書籍『賃貸マンション 管理会社VS自主管理』(株式会社澪標)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

賃貸マンション 管理会社VS自主管理 ~大空室時代を生き抜く賃貸経営術~

賃貸マンション 管理会社VS自主管理 ~大空室時代を生き抜く賃貸経営術~

芝辻 保宏

株式会社澪標

人口の減少、住宅の供給過多の中、不動産賃貸経営はより一層厳しい環境にさらされています。 これからの賃貸経営の勝ち組になるにはどうすればいいのか。不動産業界に20年以上携わってきた筆者が不動産賃貸経営における悩みを…

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