今回は、「1年当たりの債券収益」と「債券利回り」の計算方法を解説します。※本連載は、瀬良礼子氏をはじめとする三井住友信託銀行マーケット企画部の著書、『60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ』(NHK出版)の中から一部を抜粋・再編集し、「債券市場」の見方・読み方をご紹介します。

1年当たりの利息=利率(クーポンレート)×額面価格

前回説明した通り、債券の収益は利息(インカム・ゲイン)と値上がり益(キャピタル・ゲイン)です。債券利回りは、これら収益の元本に対する割合の年平均ですので、まず、1年当たりの債券収益を計算します。利息は年1回払い・2回払いなど、定期的に発生します。しかし、1年当たりの利息は、利率(クーポンレート)に額面価格100円を掛け合わせると簡単に計算できます。

 

一方、値上がり益は運用期間全体にわたって徐々に発生すると考えますので、値上がり益を債券購入時から償還までの期間(年単位)で割ると、1年当たりの値上がり益が計算できます。

 

なお、債券購入時から償還までの期間を「残存期間」といいます。1年当たりの債券収益は以下の式で計算できます。

 

 

債券利回りは「購入価格に対する割合」で計算

次に1年当たり債券収益の元本に対する割合を計算します。債券の場合は購入価格に対する割合で計算します。額面価格ではないことに注意しましょう。

 

 

利回りはパーセントで表示するので、最後に100を掛けます。このようにして計算される利回りを「最終利回り」といいます。

 

ここでは、債券価格と利回りの関係を理解することに主眼をおいているため、経過利息に触れていませんが、実務上は、利払日と利払日の途中で債券を購入する場合、経過利息を考慮する必要があります。

 

[図表]確定利付債の利回り計算例

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

60歳までに知っておきたい 金融マーケットのしくみ

三井住友信託銀行マーケット事業

NHK出版

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