約10平方メートル程度の「コンパクトアパート」
前回の続きです。
こうした「ブルー・オーシャン戦略」を賃貸住宅市場に当てはめてみるとどうなるでしょうか。
既存の賃貸住宅市場では、大手ハウスメーカーやアパート専業メーカーが、ちょっと広めでお洒落な外観、設備機器を充実させた新築アパートをどんどん建てています。まさに「レッド・オーシャン」の様相です。
これに対して、私は「コンパクトアパート」こそ賃貸住宅市場における「ブルー・オーシャン戦略」だと考えています。
「コンパクトアパート」とはその名の通り、非常にコンパクトな木造の賃貸住宅です。室内の面積は約10〜12㎡程度で、キッチンやトイレはありますが、浴室はなく、代わりにシャワーブースを設置します。居室もベッドを置くと、机などは置けません。
ワンルーム・新築アパートよりも安く抑えられる家賃
そんな部屋に誰が住むのだろうかと思われるかもしれませんが、実は非常に根強い需要があるのです。
なぜなら、都心に近く、最寄り駅から徒歩10分以内。しかも、家賃は周辺のワンルームマンションや新築アパートより1〜2割安いのです。
日中は仕事や勉強で忙しく、食事は基本的に外食。自宅には寝に帰るだけといったライフスタイルの若者にとっては、便利な立地で一人暮らしのできる最低限の広さと設備があり、しかも賃料が安いということは大きな魅力です。
しかも、「コンパクトアパート」は一部のエリアを除いてこれまであまり供給されていません。ターゲットが絞り込まれているということと合わせ、他の多くのアパートとは競争の土俵がそもそも違うのです。