ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社のシービーアールイー株式会社(CBRE)。本連載では、そのリサーチ部門が世界の不動産市場の最新情報をお伝えします。

前年同期比23%増、ほとんどが米州向け

今回は、日本の投資家による既存物件への直接投資のほか、不動産開発目的の投資や間接投資(=ファンドへのエクイティ出資などを通じた不動産投資)の動向の主なポイントを見ていきます。

 

●2017年上期(1月~6月)の日本の投資家によるアウトバウンド不動産投資額(既存物件への直接投資)は13億ドル、前年同期比23%増となりました。地域別ではそのほとんどが米州向けで、アセットタイプ別ではオフィスが引き続きもっとも多く、全体の88%を占めました。


●不動産開発目的の投資も拡大が続いています。今期発表されたプロジェクトは事業費ベースで7億ドル、対前年同期比35%増となりました。2016年以降に発表され現在も進行中の開発は事業費ベースで19億ドルにまで積み上がっています。エリア別ではアジア太平洋地域が全体の95%を占めています。セクター別では複合施設が全体の38%、オフィスが30%を占めます。


●さらに、足元の投資家動向や各社のリリースに基づくCBREの推計では、ファンドへのエクイティ出資などを通じた間接投資によるアウトバウンド不動産投資額は、今後数年の間に153億ドルにまで拡大する可能性があります。これは、2012年から2016年までの既存物件を対象にしたアウトバウンド直接不動産投資累計額91億ドルを上回る規模です。


●日本の商社・不動産会社は海外を対象にした不動産ファンドの組成を加速させています。これら海外不動産ファンドが、低金利で運用難に直面している機関投資家や年金資金などの受け皿ともなることで、潤沢な資金が対外不動産投資に流入すると予想されます。

 

[図表]日本発のアウトバウンド不動産投資 2017年上期

 

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