数の論理は『四季報』でも例外なし
投資家必見の企業情報のデータ本といえば、やはり、東洋経済新報社の『会社四季報』(四季報)です。プロ・アマ問わず投資家なら、必ず一度は手にしたことがあるでしょう。日本経済新聞社の『日経会社情報』など数種類が出ているなかで、私・藤本が特に四季報を勧めるのは、この手のものの中ではもっともシェアの高い本で、年4回の発売日もマーケット参加者の多くの人に知られているからです。 ここでも、
「シェアが圧倒的に大きいものを読んでいる人たちが、同じ材料によって動く」
という数の論理を重視します。日経新聞の活用法でも説明した通り、マーケットで重要なのは、「皆が知っている情報」であること。企業情報データについても、同じことがいえるのです。
同書を活用するには、書籍やCD -ROM 版を購入する方法もあるし、オンライン上で見ることもできます。多くの証券会社のサイトでは、口座開設者なら四季報に載った企業データを無料で閲覧することもできます。
3、6、9、12月の年に4回発売されるので、全部はいらないという人もいるかもしれません。そこで、
「1冊だけ買ってあとは無料のサイトを見るので十分」
という方には、6月に発売される「夏号」を買うことをおすすめします。というのも、日本の企業では、決算月を3月末に設定している会社が多いからです。この年度末決算の結果が掲載されるのが夏号。マーケットへの影響が大きいのも夏号なのです。
また、本とCD -ROM を比較すると、情報の一覧性は本に軍配が上がりますが、検索性ではCD -ROM のほうが断然優位に立ちます。自分のスタイルや目的に合わせて選ぶのがよいと思います。
大企業の「似てない子ども」を見つける際にも有効
さて、せっかく買った四季報、どこを読めばよいのでしょう? 正解は、「ぺらぺらめくってテキトーなところを見ればイイ」。とはいってもこれでは身もふたもありませんから、
「買ったはよいが、データのどこを見ればよいのかまったく見当がつかない」という方のために、もう少し詳しく説明しましょう。
私の場合、四季報を見ていて面白いと思うのは、〈従業員数〉や〈平均年齢〉〈平均給与〉などのデータの部分です。
例えば、航空券の比較予約サイト・オプショナルツアーのサイト運営事業を行っている【6030】アドベンチャーの従業員数は17名。一方、同じ旅行を扱う企業でも、【9603】エイチ・アイ・エスの従業員数は連結ベースで10030名。同じような業務を行っているように見えて、中身が全く違うことがわかるのです。これは、ビジネスモデルの違いから生じている差だということがよくわかります。
ほかには〈株主〉も、興味深い項目です。私は、「似てない子ども」つまり、大企業の子会社なのに一見しただけではそれとはわからないような、企業名がまったく似ていない会社を見つける際に、この項目を活用します。
ほかには、〈外国人持株数比率〉を気にする人も多いですね。〈外国人持株数比率〉が0%という会社は何かよくない材料がありそうですし、やたらと高いのもいきなり大量に売られそうでちょっとコワいものを感じます。〈外国人持株数比率〉の動きをエクセルで管理しておけば、変化率を管理するのも簡単ですよ。