日常に即した「アドバンテージ」を活用する
案外見逃しやすい情報源が、個人的な趣味や特技、娯楽など、日常に結びついたものです。こうした情報には、日常で簡単に触れられ、自分自身で業界を観察できるというアドバンテージがあります。それが、好きなジャンルであれば、楽しみながら銘柄や業界を学べるので、なおさら有利ではありませんか?
例えば最近なら、スマホゲーム。App Store の評価をいちいちチェックしなくても、ゲームが好きで流行り始めたものをすぐにチェックするような人ならば、肌感覚でそのゲームの価値がわかることでしょう。
最近では、有料コンテンツの人気ランキングは、株価にも反映されますが、たいていはゲームのことをよく知らない人が、ランキングを頼りに関連銘柄を買っています。つまり、ゲームファン以外にもその流行が伝わってくると、一般の投資家も注目するようになり、株価が上がるわけです。もともとゲームをよく知っている人なら、流行前に兆しがわかり、値上がり前にその銘柄を仕込んでおくことができそうです。
あるいは、流行に強い人や食べ歩きが趣味という人は、外食産業の株価の動きの兆しを捉えるチャンスがあります。というのも、流行している飲食店は、株価も割高になりやすいからです。外食産業は飽和状態とはいえ、決してなくならない業種です。淘汰が進むにしても、今後も目新しい業態の外食産業が、上場し続けることでしょう。
これまでは、テレビの経済番組、例えば『ガイアの夜明け』や『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京)、『がっちりマンデー!!』(TBS テレビ)などでとりあげられた銘柄が、値上がりする傾向がありました。しかし、流行っている飲食店などは、情報バラエティ番組、例えば『王様のブランチ』(TBS テレビ)などにも出てきます。この露出の多さが株価の急騰につながるわけです。
例えば、2015年4月に、米国発の人気メキシカン・ファストフード店『タコベル』が日本再上陸した際には、メディアで多々とりあげられたので、運営会社の【3069】アスラポート・ダイニングの株価が爆騰しました。かといって、タコベル数店舗で、同社の業績がすごくよくなるわけではないのですが、注目度が増すと株価は比例して上がっていくことが多いのです。
外食産業は、とにかく「元気があるかどうか」が株価に直結するのですが、食べ歩きが好きな人なら、
「あ、このチェーン、最近元気があるんだな!」
「ここは最近、元気ないなぁ」
などと敏感に察知し、半歩先に動けることでしょう。
東京五輪までは「スポーツ」も面白い
私自身も熱心な阪神タイガースファンですが、スポーツや観戦を趣味とする人も多いことでしょう。
特に国際試合が多いスポーツや、日本が得意なスポーツなどは、東京オリンピックを控えて、2016年のブラジル・リオデジャネイロオリンピックにも一層熱が入りそうです。しかも、日本人はメダル好き。メダルが期待される種目、特に個人投資家の主力層(つまりはオジサン)が好むスポーツなどは、選手の所属企業やスポンサー企業のほかに、選手の名前とかぶる企業などの関連銘柄を調べておくと面白いと思います。メダルをとると速報が流れ、メディアでも話題になりやすいだけに、株価を動かす効果があるのです。
例えば、【2331】ALSOK は女子レスリングの女王・吉田沙保里選手や伊調馨選手のほか、男女柔道選手が多く所属しています。また、東京五輪で野球やソフトボールが復活したら、プロ野球が盛り上がる可能性もあります。すると、プロ野球球団を持つ【2432】ディー・エヌ・エーなども面白そうです。
また、ライフスタイルに注目すると、少子高齢化が進むなかで、シニア層の娯楽なども、非常に興味深いジャンルです。というのも、シニア層は時間に余裕があるため、平日の昼間など、娯楽関連のアイドリングタイムにビジネスチャンスがあるからです。
以前から、スマホゲームをはじめ「暇つぶしビジネス」に注目した銘柄は、株価を上げる傾向があったのですが、人口の大きさからもシニアにターゲットを絞った「暇つぶしビジネス」は面白そうです。もし、身近にシニアの方がいらっしゃるなら、どんな分野に関心を持っているのか、話題にしてみるとよいかもしれませんね。
最近では、24時間営業している居酒屋、ゲームセンター、カラオケ、スポーツクラブやフィットネスジムなどが、シニア層をターゲットにさまざまなビジネスを考え出しています。昼間のカラオケボックスで、「一人カラオケ」というのはもはや当たり前になってきましたが、近頃【2157】コシダカホールディングスでは 、防音環境に注目して、フィリピン大学の卒業生や職員によるオンライン英会話教室を直営の『ひとりカラオケ専門店ワンカラ』で始めているそうです。
また、あのビフォーアフターのCMが話題の『ライザップ』(【2928】健康コーポレーション)でも、主力の30〜40歳代が飽和状態となったので、今後は平日昼間の顧客開拓のために、ターゲットをシニアに絞ったCMを流すそうですよ。