前回は、「東南アジア」の有望な投資先について、経済成長率や人口増加率などの指標をもとに解説しました。今回は、マレーシア・ベトナム・インドネシアの不動産投資リスクを見ていきます。

供給過剰で賃貸物件利回りが下がっているマレーシア

前回の続きです。

 

それでは一か国ずつ投資に適しているか見ていきましょう。

 

・シンガポールに次ぐ成長国マレーシア

 

人口:3026万人

首都:クアラルンプール

経済成長率:2014年 6.0% 2013年 4.7%

名目GDP:3383億US

ドル一人当たりの名目GDP:11055USドル

公用語:マレー語

通貨:リンギット

 

マレーシアは、ASEAN主要国のなかで早期に工業化に成功しました。その後も成長を続け、2011年にはシンガポールに次いで一人当たりの名目GDPが1万USドルを突破しました。しかし、そこからマレーシア経済は足踏み状態が続いています。2015年には名目GDPが1万USドルを割り込みました。経済成長率も2010年には7%を超えていましたが、近年は5%前後を行き来しています。

 

肝心の不動産価格ですが、ASEAN主要国のなかで比較的早く成長したがゆえに、すでに高止まりの状況となっています。首都のクアラルンプールのコンドミニアム価格は、同条件の東京の物件とほとんど変わりません。

 

また、すでに街として完成しており、物件は供給過剰な状態です。そのため、賃貸物件の利回りは下がり続けています。

 

したがって、今からのマレーシアへの不動産投資は不適切としかいえません。

不動産開発融資の不良債権化が目立つベトナム

・潜在能力を活かしきれていないベトナム

 

人口:9340万人

首都:ハノイ経済成長率:2015年 6.68% 2014年 5.98%名目

GDP:1988億USドル一人当たりの名目

GDP:2071USドル

公用語:ベトナム語通貨:ドン

 

ベトナムは、リーマンショック直後でも順調に経済成長を続けています。

 

成長の原動力となっているのは、中国の半分程度の安い人件費と豊富な若い労働力、そして勤勉な国民性です。

 

ただし、それでも現状はその潜在能力を活かしきれているとはいえない状況です。その主な要因は、長期間続いているインフレと貿易赤字です。

 

また、無計画な不動産開発に対する融資の不良債権化も大きな問題となっています。高成長に乗じて地方自治体などが、オフィスビルや大規模な宅地造成などを行いました。それらに対する融資が現在は不良債権化し、多くの計画が中断されています。

 

このようなことからベトナム経済は、まだまだ安定しているとは言い難い状態です。今後に期待といったところでしょう。

 

インフラ整備の遅れが外資の進出を阻むインドネシア

・ASEAN内のGDP40%を占めるインドネシア

 

人口:2億5500万人

首都:ジャカルタ

経済成長率:2015年4.8% 2014年5.6%

名目GDP:8885億USドル

一人当たりの名目GDP:3377USドル

公用語:インドネシア語

通貨:ルピア

(以上、外務省・国土交通省HPより)

 

インドネシアのGDPはASEAN内の約40%を占めます。また人口は、同内で最も多く日本の約2倍の人を抱える大国です。そのため、東南アジアへの投資を検討する際は、避けて通れない国かもしれません。

 

しかし、一人当たりの名目GDPを見ると3000USドル強。まだまだ発展の途上なのです。

 

その主な原因は、石油・ガス17.9%、鉱物性燃料13.6%、動植物性油脂10.5%という天然資源頼みの輸出品目で、工業化には至っていないのです。

 

電気・ガス・水道・交通網といったインフラ整備の遅れが課題となっており、特に首都ジャカルタを中心とした交通渋滞が深刻で、外資系企業の進出の妨げとなっています。

 

そのような背景があるにもかかわらず、都心部の不動産相場は急騰しています。また、インドネシアの不動産の所有権は国民にしか認められていません。インドネシア国籍の人に名義を借りるといった方法もありますが、トラブルのもととなるので、お勧めはできません。

 

 

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