内需を支えるフィリピン人の出稼ぎ労働者「OFW」
BPO産業と並びフィリピン経済を支えているのがOFW(Overseas Filipino Workers)です。つまりフィリピン人の出稼ぎ労働者。実に労働者人口の5人に1人が海外で働いているといわれています。英語が堪能な同国人ならではの働き方です。
フィリピン中央銀行(BSP)によると、2014年のOFWからの本国送金額は243億ドルで、GDPの約10%を占めています。彼らがフィリピン経済(=内需)を支えていると言っても過言ではありません。
経済効果の大きいカジノで観光客と雇用を生み出す
内需拡大の大きな期待要因はまだあります。スイス金融大手のCreditSuisse(クレディ・スイス)は、フィリピンのカジノ市場規模が2018年まで年平均およそ28%の成長を続け約56億USドルを上回り、世界第2位のカジノ市場規模を誇るシンガポールを追い抜くと発表しました。
カジノ業が盛んなマカオやシンガポールなどに比べて、人口が1億人を突破しているなど集客力でも有利になっていくと考えられています。
さらに労働人口も毎年2%ずつ増加する見込みで、その波及効果として所得も増加し消費が増え、娯楽産業にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。
2015年2月には香港カジノ運営大手の新濠博亜娯楽(メルコ・クラウン・エンターテインメント)がマニラ首都圏、通称メトロ・マニラで大型カジノ「City of Dreams Manila(シティ・オブ・ドリームズ・マニラ)」を開業しました。同社は「フィリピンは経済成長が著しく、中間層が増えているため可能性のある市場だ」とコメントしています。
また、フィリピン政府が最終的に1兆ペソ(約2兆7000億円)の投資を行う「エンターテイメントシティ・マニラ」では、東京ディズニーランドの2倍強を誇る敷地に4つの複合リゾート施設が計画されています。その経済効果は大きく、フィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)は年間100万人以上の観光客、5万人以上の雇用が生まれると予測しています。
このようなことからフィリピンの経済成長は、他のASEAN諸国のような外資マネー流入による一過性のバブル的な成長ではなく、年々増加する人口に裏付けられた内需の押し上げによるものであり、人口増加とともに継続的に期待できるのです。