「タダのニュース」は遅れて発信されているニュース
ネットを利用すれば、タダで情報が手に入る時代。しかし、有料の情報と無料の情報との間には、価値の違いがあるのです。その価値の一つが「時差」です。
最近は、新聞を読まないという人も増えているそうです。新聞に掲載される情報は、ネットで迅速かつタダで読めるからなのだとか。
でも、ココにもアマチュア投資家が陥りやすいワナがあります。本来、ニュースとは対価を払って得るものです。だから、機関投資家はお金を出してニュースを買っています。
どういうことかというと、ブルームバーグやロイター、QUICK のニュース配信端末などの有料のソースを利用して、リアルタイムに情報をゲットしているのです。逆にいえば、ネット上でタダで読めるニュースは、リアルタイムの情報ではなく、遅れて発信されているニュースということです。
同様に、会社情報についても、無料で閲覧できるものと有料のものとでは内容が変わってきます。例えば、ポータルサイトの金融ページなどでは、PERなどの投資指標面の情報は、年4回発行される『会社四季報』(東洋経済新報社)に合わせて更新されます。しかし、機関投資家はもっと短いスパンで、週ごとさらには日ごとに更新される情報を買っているのです。
業績予想や不祥事などの前後では、バリュエーションも変わってきますから、自分が見ているデータはいつのものなのかは、常に気にしていなければなりません。
テレビとラジオなら情報スピードは「平等」だが・・・
では、アマチュア投資家はお金を使わなければ、プロの投資家に情報スピードで勝てないのでしょうか? 実は、お金を特にかけなくても平等な情報もあります。それは、テレビ・ラジオです。
とはいえ最近では企業側も心得ていて、合併や業績など経営に関わるニュースは、市場が閉まってから発表するケースが多くなっています。
場中に発表される重大なニュースを、幸い、テレビやラジオの速報でキャッチできた場合は、個人投資家にとってはチャンスといえるかもしれません。
例えば、2007年3月13日の高知空港で起きた、全日空機の胴体着陸の事故では、株式市場が開いて間もない午前9時過ぎ、高知空港に着陸しようとしていた全日空ボンバルディア機の前輪が出なくなったと報道されました。そのとたん、【9202】ANAホールディングス(当時は全日本空輸)の株価にも影響が現れ、株価が下がり始めたのです。
その間、テレビでは2時間にわたって、上空を旋回する同機の様子が中継され続けていました。
そして、前場も終わりに近づいた午前11時頃、ついに同機は胴体着陸に成功。乗客乗務員も全員無事と報道された瞬間から株価は上昇に転じ、終値は前日比4円プラスとなりました。この日の出来高は1700万株を超えて、前日の3倍超の大商いとなりました。それだけ、この銘柄に注目が集まったということです。
地震や火山の噴火など、日本では、予期できない自然災害も多く、場中に発生することもあり得ます。本書の執筆中にも、2015年9月14日の午前中には、阿蘇山が噴火したとのニュースが流れました。ちなみに火山の噴火が起きた場合は、【2303】ドーンに注目です。阿蘇山の噴火の際も、ニュースが伝わった次の瞬間には、ドーンの株価が上がっていました。
同社は、消防車向けの緊急通報システムなどの開発を行っていますが、噴火そのもののつながりは非常に薄く、むしろその企業名で上がったものと思われます。