入所一時金が不要で、外出も自由な「サ高住」だが…
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して暮らせる住まいの確保を目的として、2011年に誕生して以降、全国で整備が進められている施設です。
60歳以上で一定の条件を満たしていれば年齢を問わず契約できる「借りやすさ」と、バリアフリーで原則25㎡以上の十分な広さがある「住みやすさ」が大きな特徴です。設置基準なども厳格化されたことから、最近では有料老人ホームとサービス面での差はあまりなくなってきています。
サ高住は賃貸住宅という位置づけなので、有料老人ホームのように入所一時金は必要ありません(敷金・礼金が必要なことがあります)。外出や外泊も自由で、介護サービスを受けたい場合入所者が個別に事業所と契約を結ぶことになります。
ただし、介護保険サービスに積極的に関与していない事業所が運営しているサ高住だと、要介護度が高くなった時や認知症が進んだ時に退去しなければならないことがあります。
また、サービスの質に大きな差があり、施設内に併設された事業所と契約させて不要な介護サービスを押しつける例も報告されており、注意が必要です。
[図表]サービス付き高齢者向け住宅 部屋の見取り図例
介護老人保健施設(老健)は基本的にリハビリ施設
介護老人保健施設は基本的に、退去して在宅復帰することを目的としています。あくまで家庭に戻る前の準備段階として、介護やリハビリを受けたい時に利用する施設と考えてください。在宅復帰が難しいようであれば、有料老人ホームなどに転居することになります。
ただし、介護老人保健施設は医療法人が運営していることが多く、中には在宅復帰に重きを置いていない、いわば「病院版の特養」というべき施設もあります。入所期間は3カ月ごとの入所継続判定会議によって決定されますが、実質ずっと入所していられる場合があります。
本人は在宅復帰を目指していたのに、実際に入所してみるとリハビリに力を入れておらず復帰できそうにないというミスマッチを防ぐために、前もって本人が自宅に帰る目標を持っているか、その施設の直近数カ月の在宅復帰率や、ベッド回転率なども確認しておきましょう。
最近では、在宅復帰に力を入れている「在宅強化型」と呼ばれる介護老人保健施設もあり、そうした施設では在宅復帰率が高い傾向があります。医師と看護師が常駐している点も、介護老人保健施設と他施設との大きな違いです。
しかし介護老人保健施設は医療費も介護サービス給付費の中に含まれているため、高額な治療や薬などを要望しても介護報酬の範囲内では難しく、施設によっては断られる場合があります。
また、持病がある人は入所を断られたり、外部の病院の受診が制限されたりもするので、入所前によく確認しましょう。