経理業務に必要な人員は従業員数から割り出せる!?
筆者著書『社長さん!経理はプロに任まかせなさい!』第2章では、中小企業がかかえる経理面の問題点、課題点を順にご紹介しています。これを受けここからは、皆様の会社の経理部門をどのように改革していくべきかその具体策を一緒に考えていきたいと思います。
経理を改善するにあたり、まず一般的にどのような改善パターンがあるのかご紹介しておきます。改善パターンを考える上では「①従業員数」「②業種」が基礎となります。従業員数は、経理業務の全体的なボリューム、つまり何人必要かを決定する際の最も重要な判断材料です。
ひとつの目安としては、従業員30名以下の会社であれば、1名で十分です。
自分の会社は従業員が40名だから、2名以上が適正かというとそうではありません。たしかに、月末月初は2名必要かもしれませんが、それは正社員として増員するのではなく、そのときだけ、派遣社員やパートを雇うようにしましょう。これなら1名で済みます。
業務ボリュームによってはアウトソーシング化の検討も
また、業種によっても改善点は異なります。たとえば、消費者相手の小売業であれば、顧客に直接販売する業種であるため、どちらかというと、日々の現金収入の管理をいかにスリム化するかという点がポイントです。
メーカーであれば、製品をつくる際に、多種の材料を仕入れなければいけませんから、仕入先から届く数多くの請求書に対する支払い業務と同時に、製品を卸す顧客先企業に対して、請求書を発行し、入金を催促して確認する作業が中心となるはずです。
このように、業種の違いによって、経理に求められる作業内容は異なります。
まずは、皆様の会社の経理が他の業種と比較して、どこが違うのかを明確にしてください。自分でわからなければ、筆者著書『社長さん!経理はプロに任まかせなさい!』巻末掲載の税理士などに他社事例を求めてもいいでしょう。そして、
「建設業では、建設部材の請求書への振込業務が忙しい」
「通販業では、入金の消し込み作業に多くの時間をとられる」
「メーカーでは、原材料在庫の棚卸に手間がかかる」
「卸業では、消費税の計算が難しい」
といったように、業種業態で改善すべき点については一定のパターンが存在します。まずは、その点を重点的にスリム化することを心がけましょう。
また、業務ボリュームによっては、外部に任せる、つまり、アウトソーシングが可能かどうかを検討しましょう。最近では、請求書の発行作業のみ、入金の消し込み作業のみ、振込作業のみ、といった個別サービスを利用することが可能です。
いずれにせよ、改善点を見つけ、経理作業をスリム化した後でないと、たとえ外部に出したとしても、業務フローが複雑、または特殊といった理由から高額なコストがかかってしまうでしょう。
それでは、ケース別に経理業務改革のポイントを見ていくことにしましょう。
この話は次回に続きます。