小口現金の管理のために経理担当者が大残業!?
皆様の会社には、日々のちょっとした支出のための小口現金が用意してあると思います。この小口現金の管理で必要以上に時間をさいている経理担当者は少なくありません。
たとえば、一日が終わった時点で10円、計算が合わなかったとします。すると、この担当者は、すべての領収書の値段を何度も何度も確認します。それらの領収書を提出した営業マン全員に内容を尋ねるため、社内をかけずり回ったりします。
その結果、平気で2時間分の残業代をもらったりしているのです。これが変えるべき「古い経理部門」の平均的な姿だと言えます。もちろん、10円でも計算が合わなければ、徹底的に追及する、という姿勢は、社内の不正防止に一定の抑止効果は期待できるはずです。
ですが、その抑止効果以上に、その10円のために2時間分の残業代数千円の負担が会社に新たに生じているというムダに、この経理担当者が気づいていないことが問題です。
それであれば、小口現金だけでなく、いっそのこと会社内をキャッシュレスにしてしまおう、というのが私の提案です。
営業マンに「ICカード」等をもたせ、経理の無駄を排除
具体的なやり方をご紹介しましょう。営業マンの交通費の立て替えは「かわいそうだから」という温情で、経理に「すぐに支払うように」と即日処理を命じている社長は多いと思います。
ですが、一人の営業マンが一週間外に出ていると
・○月○日電車代300円
・○月○日タクシー代700円
というような細かな交通費がたくさん発生しているはずです。結果として、5000円の交通費の精算に対して、時給2000円の経理担当者が30分以上の時間をかけているという事態が生じているのです。キャッシュレスにすることで、こうした無駄を排除できます。
その方法としては、営業マン一人ひとりに、交通系ICカードのようなものをもたせます。その1カ月の合計金額が2万円だとすると「交通費2万円」で仕訳を完了させてしまうのです。内訳をプリントアウトし、添付しておけば、税務署も認めてくれる方法です。
また、営業マン個人が立て替えた取引先との交際費などは、その都度、経理担当者に精算させる日常業務とするのではなく、期間を月単位とし、給与明細に立て替え経費欄を設定、1度の振り込みにしてまとめるようにしましょう。
営業マンに法人のクレジットカードなどをもたせておけば、明細も簡単にインターネットから取り込めますし、仕訳もパソコンが自動的に行ってくれます。
また、立替金(仮払金)をやめると、その補助簿をつける必要もなくなり、管理すべき帳簿をひとつ減らすことにもつながります。
現金管理をなくすと、経理の人的コストを大幅に圧縮することができるのです。