今回は、管理業務の「コストカット」を断行すべき理由を見ていきます。※本連載は、株式会社アックスコンサルティング代表取締役・広瀬元義氏の著書『社長さん!経理はプロに任まかせなさい!』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、ムダをなくす経理管理についてわかりやすく解説します。

経営者は「管理部門=コストアップ部門」と認識すべき

どんな会社にも会社の成長がいったん止まり、売上がまったく伸びない「踊り場」にさしかかる時期があります。

 

売上のグラフは、右肩上がりではなく、ずっと平行線のままです。このような時期が数年続くと、会社の利益はどうなるでしょうか。

 

「売上が一定だから、利益も一定となる」という答えは誤りです。

 

従業員の給料は少しずつアップしていきますし、政府は「ゆるやかなインフレ政策」をとっていますから、材料、外注費も少しずつですが価格が上昇してくるはずです。ですから、「経費が増え、利益が減る」というのが正解です。

 

繰り返しますが、経理をはじめとした管理部門は利益を生み出さない部門です。経営者なら「管理部門は、コストアップ部門」というぐらいの意識をもたなければなりません。管理部門のコストカットができない経営者はリーダーとして失格です。

 

私たちが労働により得た報酬は、そのなかから税金が払われ、国に納められます。役所に勤める官僚は管理部門の人間です。国会議員などもそうでしょう。

 

この管理部門が肥大化しすぎると、ギリシャなどのように国自体が破産してしまいます。国の管理部門のスリム化を手掛けるのは、当事者である官僚や国会議員です。そのためなかなか進みません。

 

一方、中小の会社の経営者は管理部門ではなく、自ら利益を生み出す存在です。管理部門の当事者ではありませんから、そこに障壁はありません。

管理部門スリム化のコツは「思い込みの排除」!?

とはいえ、管理部門のスリム化というと、端から無理だと思う経営者が多いのも事実です。ですが、コツさえ覚えれば簡単です。

 

一番簡単な方法をひとつお教えしましょう。

 

「思い込みを排除する」だけでいいのです。

 

経理部門は、他の部門に比べて「~ねばならない」という言葉がひじょうに多い、部門でもあります。

 

・小口現金の数字がたとえ1円でも合わなかったら何時間かかってでも、原因を見つけ出して確認せ「ねばならない」

・すべての帳簿を管理せ「ねばならない」

・書類はネットではなく、紙で管理せ「ねばならない」

 

この「ねばならない」という思い込みを明らかにして排除していくことが、スリム化の最大のコツとなります。

 

次回以降、順に見ていきましょう。

社長さん!  経理はプロに任まかせなさい!

社長さん! 経理はプロに任まかせなさい!

広瀬 元義

あさ出版

「会社のお金の流れ」はよく人間の血液にたとえられます。血液と同様に、お金の流れがとまれば、会社を継続させていくことはできません。 そこで本書は、このような不安定な経営から脱するための方法として、経理部門の仕事を…

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