経営者は「管理部門=コストアップ部門」と認識すべき
どんな会社にも会社の成長がいったん止まり、売上がまったく伸びない「踊り場」にさしかかる時期があります。
売上のグラフは、右肩上がりではなく、ずっと平行線のままです。このような時期が数年続くと、会社の利益はどうなるでしょうか。
「売上が一定だから、利益も一定となる」という答えは誤りです。
従業員の給料は少しずつアップしていきますし、政府は「ゆるやかなインフレ政策」をとっていますから、材料、外注費も少しずつですが価格が上昇してくるはずです。ですから、「経費が増え、利益が減る」というのが正解です。
繰り返しますが、経理をはじめとした管理部門は利益を生み出さない部門です。経営者なら「管理部門は、コストアップ部門」というぐらいの意識をもたなければなりません。管理部門のコストカットができない経営者はリーダーとして失格です。
私たちが労働により得た報酬は、そのなかから税金が払われ、国に納められます。役所に勤める官僚は管理部門の人間です。国会議員などもそうでしょう。
この管理部門が肥大化しすぎると、ギリシャなどのように国自体が破産してしまいます。国の管理部門のスリム化を手掛けるのは、当事者である官僚や国会議員です。そのためなかなか進みません。
一方、中小の会社の経営者は管理部門ではなく、自ら利益を生み出す存在です。管理部門の当事者ではありませんから、そこに障壁はありません。
管理部門スリム化のコツは「思い込みの排除」!?
とはいえ、管理部門のスリム化というと、端から無理だと思う経営者が多いのも事実です。ですが、コツさえ覚えれば簡単です。
一番簡単な方法をひとつお教えしましょう。
「思い込みを排除する」だけでいいのです。
経理部門は、他の部門に比べて「~ねばならない」という言葉がひじょうに多い、部門でもあります。
・小口現金の数字がたとえ1円でも合わなかったら何時間かかってでも、原因を見つけ出して確認せ「ねばならない」
・すべての帳簿を管理せ「ねばならない」
・書類はネットではなく、紙で管理せ「ねばならない」
この「ねばならない」という思い込みを明らかにして排除していくことが、スリム化の最大のコツとなります。
次回以降、順に見ていきましょう。