「不渡り」のリスクが伴う手形決済
「不渡り」を出せば、結果的に会社は事実上の倒産に追い込まれます。そのような事態を100パーセント防ぐには、「手形は切らない。もらわない」。これにつきます。
もちろん、資金繰りの厳しいときだからこそ、即金が用意できなかったり、買掛金の支払日までに資金を準備できそうになかったりして、猶予期間の長い手形についつい走ってしまうというのもわかります。
しかし、手形決済にはなんといっても「不渡り」のリスクが伴うことを忘れてはいけません。手形決済の場合、とにかく期日に銀行の口座に資金がなければ、どんなに銀行や取引先に頭を下げたところで、待ってはもらえません。不渡りは不渡りです。
しかし、即金での取引は無理にしても、せめて掛け取引にしていれば、取引先に頭を下げて、なんとか支払いを延ばしてもらえる可能性もあるのです。
掛け取引を含む「現金決済」の交渉を
また、どんなに自社が手形決済をしないと決めても、それだけで100パーセント安全とはいえません。社長さんの会社が、手形を振り出すことによって不渡りのリスクを負うように、取引先の会社も、手形決済を行えば、不渡りのリスクを負うことになるのです。
つまり裏をかえせば、手形を振り出された側にとっては、「焦げ付き」のリスクを負うということです。
万が一取引先が不渡りを出せば、予定していた入金がなくなることで、資金繰りはさらに厳しくなります。その結果、資金ショートを起こし、最悪の事態に陥る│いわゆる連鎖倒産という事態も起こり得ます。
万全の対策をとるならば、取引先に対しても、手形決済ではなく、掛け取引を含む現金決済をお願いできるよう、交渉することです。
いずれにしても、取引先との交渉も、気が重いものです。しかし、資金繰りがうまくいっていないときに、手形を振り出したばかりに、そのうち不渡りを出すのではないかと、寝ても覚めても不安に心を占領されるよりはよいのではないでしょうか。