本連載は、さわかみホールディングスの代表取締役で、日本における長期運用のパイオニアとして知られる澤上篤人氏の著書、『これが長期投資の王道だ』(明日香出版社)より一部を抜粋し、株式「長期投資」の極意を紹介します。

マーケットは「理論通り」に動くとは限らない

みなさんのまわりにも、こんな人たちが一杯いるんじゃない? 投資は難しい、なかなか儲からないと騒いでいる「投資家」たちが。

 

どうして儲からないのか? 投資なんて、安く買って高く売るだけのこと。なのに、その逆ばかりをやっているのだから、どの「投資家」たちも儲かりっこない。

 

彼らは「まだ下がりそう」「損しそう」といって暴落相場を買えない。かと思えば、「儲かりそうだから」と上昇相場に飛び乗っては、高値づかみをしてしまう。そういった「安い時に買えず、高くなって飛びつく」を繰り返す投資家の多いこと。

 

もうひとつある。投資の理論やテクニックを勉強するのは、どうぞご自由にだ。ただし、やたらと頭デッカチになってはいけない。理論通りにならないのが、マーケットであり、投資の投資たる所似なのだから。

 

どんなに高度な理論も、一時は成功したと得意になれるかもしれないが、すぐ通用しなくなる。なにしろ、理外の理にあふれているのが相場であり、すぐその成功の裏をかいてくる。そこのところが、学者先生や機関投資家にはわからない。

演算して出てくる投資判断は、どこも似たり寄ったりに

機関投資家をはじめとして、個人投資家でも高度な投資理論をありがたがる頭デッカチ人間は多い。彼らは数式とコンピュータさえあれば投資ができると思い上がっている。人間の叡知と近代科学で自然を克服したと信じ込んでいる傲慢な人たちと、まったく同じ。

 

たとえば、機関投資家は最新の投資理論と複雑な数式を駆使したり、膨大なデータを統計処理して標準化したモデルを好んでつかう。そんなもの、なんの役にも立たないのだ。なぜかわかるか?

 

いくら高度に理論やら数式をひねくりまわしたところで、演算して出てくる投資判断は、どこも似たりよったりとなる。元のデータが同じなのだから、演算結果も同じようなものになるのは、どうしようもない。

 

どこも似たりよったりとなるような投資判断には、なんの価値もない。そんなものをありがたがって、マーケットに参加したところで、大したリターンは得られない。

 

なぜなら多くの機関投資家が、同じような考えで、同じようなタイミングで行動することになるのだから。相場が一方通行になるだけで、彼らが期待する値ザヤ抜きなど望むべくもない。

 

それよりも、理論ガチガチの投資家たちが寄ってたかって築き上げている相場が、どこかで崩れるのを待ち受ける方が、よほど儲かると思わないか。

 

同じような投資判断で買っていた人たちが、ドドッと売りに走るところに網を張って、のんびり待つのだ。

これが長期投資の王道だ

これが長期投資の王道だ

澤上 篤人

明日香出版社

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