大きく下がった銘柄を「迷わず買う」
長期投資家は平気な顔して暴落相場を買いにいく。そして、相場が戻ってくるにつれ、適当なところから利益確定の売りに入っていく。そして、大きく下がったら、また買い出動する。このリズムを、長期投資家はとことん大事にする。
ところが、「もうすこし安いところがあるかも」とか「この上昇相場どこまでいくのだろう? できるだけ天井近くで売りたい」なんて欲を出しはじめたが最後、たちまち相場追いかけ投資に引きずり込まれてしまう。長期投資のリズムはガタガタになる。
その点、機関投資家がやっている資金運用には、このリズムがまったく感じられない。マーケットにしがみついて、毎年きちっきちっと成績を出そうとするから、ガチガチの計算づく運用になってしまう。
彼らがよく口にする「3月の本決算までに成績を固めなくては」なんてプレッシャーがあったら、まともな投資などできない。「ちょっと様子をみよう」「底値を確認しなければ、とても買えない」とかで、相場にしばられて身動きがとれなくなる。
長期投資のリズムは、安いところで買い出動することを、投資の起点にする。「まだ下値はあるかも、しばらく様子をみよう」なんていっていたら、いつまでたっても買えない。長期投資のリズムもなにも、あったものではない。
ある程度はアバウトで構わないから、安値はとにかく買うことだ。ドスーンと下がったところを買うことから、長期投資をスタートさせよう。
「まだ下がるかもしれない」とは考えない
おもしろいもので、短期投資家やディーリング運用ではこれができない。「まだ下がっている、どこが底値となるか知れたものではない。やばいぞ」と、下げ相場に身も心も沈んでいく。
そんな状態で、彼らが買いを考えるなんてあり得ないこと。むしろ、売りを出したくなる。
多くの投資家が「とても買えない」といっている状況下では、売りものがどんどん出てくる。ところが、買いはほとんど入ってこない。そこを、われわれ長期投資家はひとり買いにいくのだ。予想以上に安く買えるなんて、しばしばである。
安いところをたっぷり買っておくと、相場がほんのちょっと戻すだけで、早くもそこそこの投資収益を回収できる状況になる。どこで売るかは投資家それぞれの自由だから、適当なところで利益確定に入って構わない。
そこで現金化しておくからこそ、次の暴落局面を再び買いにいけるのだ。これが長期投資のリズムである。そのあたりを以下の図表のイメージで、しっかり頭にたたき込んでおこう。
[図表]長期投資のリズムをつかんでしまおう
◎相場の上下変動にはつかず離れずで、のんびり眺めているぐらいがちょうど良い
◎前もって、長期で応援するぞと腹を固めた銘柄を、いくつか選んでおく
◎なにかの加減で大きく下がったら、すかさず応援買いに入る
◎その時、「どこまで下がるのだろう」とか「下値のメドは」とかを意識しない
◎それをいいだすと、すぐ相場に引き込まれてしまう
◎どこかで株価が大きく上昇してきたら、適当なところから売り上がっていく
◎売る時も、「まだまだ上がりそう」とか「天井はどの辺だろう」といった相場の読みはしない
◎適当に利益確定しておき、どこかで大きく下げたら、再び買い出動する
◎この「安く買っては、高く売る」のリズムを、トコトン大事にする
◎相場など、自分の人生で数え切れないほど、上がったり下がったりを繰り返すもの
◎その上げ下げの一部分をリズムよく頂いていくだけで、再投資の複利効果がきいてきて、素晴らしい財産づくりができてしまう
そう、長期投資家は買いに入る時こそ、長期の時間軸で行動する。だが、売る時は3カ月後とか、案外と短期も大ありなのだ。安い時にためらうことなく買うことで、リズムの起点をつくっておきさえすれば、その後は短期の利益確定もありと考えて良い。