今回は、株式投資における「長期投資」最大の強みについて見ていきます。※本連載は、さわかみホールディングスの代表取締役で、日本における長期運用のパイオニアとして知られる澤上篤人氏の著書、『これが長期投資の王道だ』(明日香出版社)より一部を抜粋し、株式「長期投資」の極意を紹介します。

「気持ちの余裕」こそが最大の強み

どんな投資でも、「安い時に買っておいて、高いところで売る」ことで利益を得ようとする。

 

短期投資家やディーリング運用では、ひたすら相場や株価の上昇トレンドを追いかけては飛びつき買いをして、その後の高値を売ろうとする。

 

よほど大きな上昇相場の波に乗らない限り、こういった順張り投資はなかなか儲からない。強い上昇気流に乗ってはじめて、値上がり益を取れるという投資には、結構きついものがある。

 

その点、われわれ長期投資家は、なんとも楽である。将来の投資価値がどんどん高まっていってくれるであろうものを、安いと思えばさっさと買っておく。

 

どうせ投資価値が高まっていくのだから、どこで買っても構わない。いつかどこかで市場の評価も高まってくるだろう、その時は株価も上がっているに違いないといった想定ができる。

 

そんな気楽な感覚で、みなが売り逃げに走っている安いところを買い出動しておけば、後はどんな料理でもできる。短期間で利益確定の売りを出してもいいし、ずっと長く引っ張っても良い。

 

長く保有している間に、天変地異など大きな社会変動があっても慌てることはない。どうせ、いつかは上がるのだから。むしろ買い増しだ。

 

この気持ちの余裕こそが、長期投資の最大の強みである。相場動向に一喜一憂することもなく、「安く買って高く売る」という投資の鉄則を地でいける。

「損をする」という不安を覚える必要がない

これが、一般の投資家のように「株式市場が長期低迷していて、なかなか投資に踏み切れない」とか「政治の混迷が相場の足を引っ張っているから、ここはちょっと買えない」とかで悩むことはない。安いと思えば、さっさと買っておくだけ。

 

安いところで買っておいて、後はのんびり待てばいいだろうと、大らかそのものの投資姿勢で十分。待っている間にも、企業が頑張って投資価値をどんどん高めていってくれるのだから。

 

安い時に買っておいて、高くなるまで待っては、利益確定するを繰り返している限り、投資で損するといった不安を覚えることはない。それだけ、長期投資家の心理は骨太となる。

これが長期投資の王道だ

これが長期投資の王道だ

澤上 篤人

明日香出版社

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