今回は、長期投資の成功に「のんびり待つ」という姿勢が重要となる理由を見ていきます。※本連載は、さわかみホールディングスの代表取締役で、日本における長期運用のパイオニアとして知られる澤上篤人氏の著書、『これが長期投資の王道だ』(明日香出版社)より一部を抜粋し、株式「長期投資」の極意を紹介します。

相場動向は「つかず離れず見る」程度で良い

われわれ長期投資家も、相場動向を一応は意識する。なにしろ、株価が大きく売られて安い時には、しっかりと買い仕込みをしておきたい。そして、相場が大きく噴いてきたら、利益確定の売りを出さなければならないのだから。

 

とはいえ、せいぜい相場動向を横目で眺めているぐらいの気楽さでだ。時々刻々の相場変動を眼を皿のようにして見守っているわけではない。

 

相場動向にはつかず離れずで、「ずいぶん悲観先行で売られているな」「暴落症状を呈してきたな」と思えたら、「このあたりから買い仕込みに入ろうか」ぐらいの感覚である。相当にアバウトといっていい。

「底値で買おう」など、欲を出すのは厳禁

利益確定の売りに入る時も、同じこと。「最近、やたらと株を買い急ごうとする熱気が高まってきているな」と思えたら、「そろそろ売り上がっていこうか」ぐらいの単純さで十分。「この上昇相場、どこまでいくんだろう。できるだけ上値まで引っ張って、値幅を目一杯取ってやろう」なんて欲は出さない。

 

間違えても、「できるだけ安く買おう。下値はどの辺りだろう」とか「この上昇相場を天井近くまで追いかけて、儲けを最大化してやろう」などと欲は出さない。そんなこと考えはじめたら、たちまち相場追いかけ型の投資に引きずり込まれてしまう。

 

どこまで下がるのか、どこまで上がるのかと、相場を追いかけだすと、もうキリがない。上にも下へも追いかけたくなるのは、相場の魔力といったものである。その挙げ句、底値も大天井も最後の最後までつき合ってしまい、相場の急反転に泡を食うことになる。

 

長期投資では、「安く買っておいて、高くなったら売る」のリズムを大事にする。そのためには、相場変動を横目にしながら、マイペースの投資を貫くに限る。

 

リズムといっても、長期投資の場合は5年7年にわたる超ロングの売買リズムとなることもしばしば。短期投資のように買っては売るを、ひんぱんに繰り返すわけではない。

 

価値あるものを、みなが売っている安い間に拾っておき、いつかどこかでみなが買い群がってくるのを、のんびり待つのが長期投資である。だから、「のんびり、マイペース」でいくわけだ。

これが長期投資の王道だ

これが長期投資の王道だ

澤上 篤人

明日香出版社

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