プロのアナリストの予想もあまり当たらない
<知恵③>
予想は要因パターンに依存するしかない
毎年、上半期、下半期にドル円相場がどう動くのか、その予想がプロのアナリストから発表になるが、あまり当たらないようだ。あまり当たらないということは、為替予想を私たちトレーダーが行うこと自体がさほど役に立つようには思えない。これは為替サイトなどの記事や予想でも言えることで、まるで「町占い」のようにあまり的中したとは言えない状況だ。
にもかかわらず、私たちは明日以降の為替を予想したいし、知りたいようだ。こういうメンタリティをどう満足させればよいのか。とりあえず2つの考えがあるだろう。
1 チャートを使う
チャートは、その日その日の為替の動因を具体的な為替価格に変え、チャートに織り込んでいく。さまざまな需給の要素がチャートに織り込まれる結果、波動という形状が可視化されるので、テクニカル分析を行うと、その週やその月内の予想ぐらいは可能になってくる。
一時、北朝鮮と米国との地政学的リスクが高まり、米ドル円チャートは、円高トレンドを織り込み始め、初級レベルのチャーチストでも円高相場を予想できた。非常に読みやすいトレンドのパターン的動きを予想しただけだったが。
すでに2012年からのアベノミクスによる、また世界的な金融緩和の流れは、この政策的テーマが明確になるにつれ、ドル買い、円売りの大合唱と化し、円安の本流を見逃すトレーダーは、マクロ視点ではまったくいないほどだった。この時局でも、たやすく為替の潮流をキャッチできた。
来年、ドル円相場はどうなるのか、といった予想は必ずしも必要なわけではない。チャートを日足、週足で読み、マクロ的に為替の動きの先読みは可能であり、テクニカル分析を駆使して行えばよい。ただ、なにぶんにも重要な指標の発表や為替材料が出ると、為替価格は予想外に大きく動くが、私たちトレーダーはその材料を予測する必要はない。チャートの動きを見て、次の一手を読んでいけばよい。次の一手も予想といえば予想だ。
身につけたいのは「ファンダメンタルズ分析力」
2 材料が出た後の動きを追う
問題はどんな材料が出るのかを予想することでもないし、また材料のインパクトは、どれくらいの価格変動を生むのか、でもない。私たちがこうした価格変動で儲けるという目標を達成するためには、材料が出た後の動きを読み抜くファンダメンタルズ分析力を身につけておくことがむしろ大事だ。もっといえば、プロ分析でも常時的に外れる予想をすること自体、時間と費用の無駄遣いで、いかに儲けられるかという目標達成に戦略・戦術を駆使すべきである。
[図表]予想は難しい、とりあえずやれること