47都道府県と横浜市など5市にある信用保証協会
これまでは、日本政策金融公庫と信用保証協会付融資の2つについて比較をしてきましたが、実はこれだけでなく、金融機関によっては地域ごとに創業融資の要件や取り扱いが大きく異なったりします。
日本政策金融公庫は一つの組織として同じ融資制度を展開しているため、地域によって取り扱いが大幅に変わるということはあまりありません(とはいえ、担当者の考え方などにはだいぶ違いがある場合もありますが・・・)。
これに対して信用保証協会は、現在、47都道府県と5市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市、大阪市)にありますが、それぞれの都道府県や市町村ごとで設立、運用されています。
そのため、創業融資制度の一つをとってもその要件から上限額までが大きく異なり、「A県でうまくいったからB県でも同じで大丈夫だろう」という考えは通用しなくなります。
本書では紙面の都合上(※書籍参照)、東京都制度融資(創業融資)を引き合いに出すことが多いのですが、もし、この本をお読みになっている方が東京都の方であればここに書いてある内容はそのまま使えます。
しかし、以上のような理由から東京都以外の他県の方については、自分の県の融資制度の要件をしっかりとご確認いただく必要があります。
つまりは、それだけ、地域によって内容が異なるということなのです。
「代表者の給与」は融資の対象となるか?
そこで以下では、代表的な都道府県につき、各信用保証協会が創業融資の主な要件についてどのように考えているかをまとめました。
その1 親などから贈与された資金は「自己資金」として認められるか?
東京:「自己資金」として認められる。
大阪:自分でためて資金以外は自己資金とは認められない。
参考:(日本政策金融公庫)「自己資金」として認められる。
その2 融資の対象となる範囲はどこまでか?
東京:仕入れ代金や開業後の運転資金、設備資金が対象。
テナントを借りる場合の契約金額や内装工事費も対象となる。
但し、「法人設立費用」や「融資申し込み前に使った費用」については、
融資の対象とならない。
大阪:同上
神奈川:同上
参考:(日本政策金融公庫)同上
その3 法人設立の場合、創業後といえるのは、いつの時点からか?※1
東京:法人登記を完了したときから。
大阪:法人登記をしただけではダメで、実際の売上げが確認できた時から。
参考:(日本政策金融公庫)法人登記を完了したときから。
その4 代表者の給与は融資の対象となるか?
東京:対象とならない(その他の役員報酬についても原則、ダメ)
大阪:対象とならない(その他の役員報酬についても原則、ダメ)
参考:(日本政策金融公庫)対象となる
その5 法人で融資を申し込む場合、テナントの契約名義は個人のままでもよいか?※2
東京:原則、融資実行時には法人と大家との契約になっていることが必要。
大阪:同上
参考:(日本政策金融公庫)個人と大家との契約のままでOK。(ただし、支店により取り扱いが異なる場合あり)
※1 創業融資では創業の前か後かにより、要件や上限額がかわるという問題が生じます
※2 法人を設立して、新たに借りるテナントをその本店所在地にする場合は、まず代表者の個人名で賃貸契約をした後に登記手続きという流れになります。
しかし、その後の融資の申し込み時に提出する賃貸借契約は法人名でなければならないとなった場合には、新たに法人名義での契約をやり直す必要があるという問題が出てきます。