今回は、信用保証協会付融資(制度融資)の仕組みについて説明します。※本連載では、一般社団法人コンブリオの監事・引地修一氏の著書『飲食店開業のための 公的融資獲得 完全マニュアル』(TAC出版)から一部を抜粋し、飲食業が利用できる「創業融資」の種類と特徴を解説します。

「信用保証協会の保証を受けられる」ことが条件の一つ

前回からの続きです。

 

信用保証協会付融資(制度融資)について


以上のように信用保証協会は、企業に対して直接の融資をすることはしませんが、他の機関と協調して融資のサポートをしています。それが「制度融資」といわれるものです。

 

この「制度融資」とは、資金調達力の弱い個人や中小企業の融資を容易にするため、各都道府県と金融機関、そして信用保証協会の3者が協調して行うタイプの融資(いわばパッケージ商品のようなもの)で、それぞれの役割は次のようになっています。

 

[図表1]制度融資における役割

 

[図表2]制度融資の仕組み

 

 

これに対して、金融機関が信用保証協会の保証をつけずに行う融資を「プロパー融資」と
いいますが、このプロパー融資は金融機関にとってのリスクが高いため、信用力の低い創業者に対して行われることはめったにありません。

 

そのため、飲食に限らず、大半の創業者は、この制度融資(このうちの創業融資枠)を利用することとなります。

 

このように「制度融資」は、創業者にとっては使い勝手のよい制度融資ですが、これを利用するためにはその前提として、「信用保証協会の保証を受けられる」方であることが必要となります。

 

つまり、制度融資を利用する場合には、

 

●信用保証協会の利用条件を満たせること

 

●個別の融資条件(「創業融資」等)を満たせること

 

という2つの条件をクリアーできなければなりません。

金利とは別に「信用保証料」が必要に

[図表3] C県の制度融資

 

例えば、上記の場合でいえば、C県制度融資のうちの創業融資を利用するには、県信用保証協会の利用条件であるAと、創業融資の個別の融資条件のそれぞれを満たすことが必要ということになります。

 

[図表4] 東京都における信用保証協会の利用条件

 

[図表5]保険対象外業種

 

なお、信用保証協会が保証をして融資を行う場合(制度融資の場合を含む)には、金利とは別に「信用保証料」というものがかかります。

 

日本政策金融公庫が所定の金利だけを支払えば融資を受けられるのに対し、信用保証協会の保証を受ける場合には、さらにこの保証料を負担しなければならない点に大きな違いがあります。

 

この「信用保証料」は、通常の金利とは異なり、借主の信用力を考慮して個別に決まりますが、東京都制度融資の場合の保証料は以下のとおりとなっています。

 

[図表6] 東京都融資の信用保証料率の例(平成25年10月現在)

 

[図表7]

本連載は、2014年7月1日刊行の書籍『飲食店開業のための 公的融資獲得 完全マニュアル』(TAC出版)から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

飲食店開業のための 公的融資獲得 完全マニュアル

飲食店開業のための 公的融資獲得 完全マニュアル

引地 修一

TAC出版

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