毛周期の「成長期」が短くなり、細く短い毛ばかりに…
AGAになると、髪の毛には何が起こっているのでしょうか?
中で、髪は成長期に伸びていきますが、AGAではこの成長期が短くなり、休止期にとどまってしまう毛包が多くなると考えられます。
普通は男性で3~5年、女性で4~6年とされる成長期が短くなることで、毛が充分に成長できず、太く長く成長しないうちに抜け落ちてしまったり、成長不足の細く短い毛ばかりの状態になったりします。この、もともと太く硬い硬毛が柔らかくて細い軟毛になることを「軟毛化」と言います。
さらに年月をかけて毛包自体が小さくなり、毛周期全体が高回転で回ってしまう「ミニチュア化」が起こることが、AGAの本質です(以下の図表を参照)。
[図表]ミニチュア化した毛周期
このミニチュア化によって、結果的に薄毛に見えるようになってしまうのです。
原因物質「DHT」が男性ホルモンと結びついて発症
AGAの発症に大きくかかわっているのは「男性ホルモン」です。ただし、男性ホルモンが単独で、薄毛を引き起こすわけではありません。
毛包の中にはⅡ型5αリダクターゼという酵素が存在します。また、毛細血管の血中にはテストステロンという男性ホルモンが循環しています。この2つが毛乳頭部分で出合い、結びつくと、「ジヒドロテストステロン(DHT=Dihydrotestosterone)」という物質が生成されます。
この「DHT」こそが薄毛の元凶となる原因物質です。このDHTが男性ホルモンのレセプター(受容体)と結びつく力は5~10倍と言われており、さまざまな遺伝子群に作用を及ぼします。その遺伝子としては、毛髪の毛母細胞の増殖を抑制することで髪の成長をも抑えてしまうTGF-β1が代表的です。
こうした薄毛に悪影響を与える細胞成長因子が働くことで、成長期毛が休止期に移行し、毛が抜けてしまうのです。