男性ホルモンのレセプターがあると「薄毛」に…
さて、先ほど男性ホルモン、〝レセプター(受容体)〟という言葉を使いました。人間の体がホルモンの情報を受け取るには、細胞がそのホルモンに対するレセプターを備えていることが条件となります。ホルモンに対する〝感受性〟ともいえるでしょう。
つまり、男性ホルモンのレセプターを持っているか、持っていないかが薄毛の分かれ道となります。レセプターがあればその作用の影響を受けて、薄毛になってしまいます。しかし、このレセプターがなければその影響を受けることはなく、薄毛にもなりません。
レセプターの存在には「遺伝」が大きく関与
じつは、このレセプターがあるかないかは〝遺伝〟が大きく関与していると言われています。親からの遺伝によってこのレセプターを受け継いでいると薄毛になる確率が高く、逆に遺伝によりレセプターがなければ薄毛になる確率は低くなるのです。
これが「薄毛は遺伝だ」といわれるゆえんです。つまり、薄毛そのものが遺伝するわけではなく、男性ホルモンのレセプターがあるかないかが遺伝なのです。それが、若くして薄毛に悩む人と、年齢を重ねても髪がふさふさな人とがいる不思議さを解明する事実のひとつといえます。ただし、これまでお話ししているとおり、AGAは多因子遺伝性疾患のため、単純に「遺伝」という一言では説明できない発症理由がたくさんあります。
ちなみに、女性にも男性ホルモンは存在します。そのため女性も決してAGAと無関係ではなく、先に解説したように「FAGA」が起きる場合があり、50歳以下では6%、70歳以上の女性の場合はじつに30~40%がFAGAと言われています。