不動産を共有する夫婦が離婚することになったら・・・
前回の続きです。
しかも、共有名義不動産では、単独所有の不動産では絶対に起こり得ないトラブルが発生するリスクがあります。
前述のように、不動産が共有名義となるケースで最も多いのは、相続による場合と夫婦がマイホームを共同購入する場合の2つです。このいずれのケースも、後々トラブルへ発展する可能性が非常に大きいのです。
相続の場合であれば、「実家の土地と建物はやはり残しておきたい。とりあえず売らないで、兄弟の共有名義にしておこう」と遺産分割時に合意していたものの、兄弟それぞれの状況が変化した結果、「売って代金をみなで分けよう」「いや、反対だ」などという対立が生じることが多々あります。
また夫婦の共同購入の場合であれば、性格の不一致などから夫婦関係も冷め切って離婚をすることになり、その財産分与の話し合いの中で、どちらが家の所有権を持つのか、どちらがローンを負担するのかをめぐり、争いとなることが少なくありません。
安易な共有がその後の共有者の「紛争の種」になることも
そして、いずれの対立・争いも、肉親や夫婦の間で繰り広げられるため、当事者にとっては強いストレスや心理的苦痛となります。
これらのトラブルはそもそも共有名義不動産でなければ起こり得ないものです。遺産分割協議や不動産の購入時に、後々のことを考えず共有名義にしてしまったことが〝紛争の種〟となり、数年あるいは数十年経ってから、共有者たちに大きな苦しみや悩みをもたらすことになるのです。