管理会計は「メガネの曇り」を取り除くツール
管理会計の本質は、「本来見えていなければならないものが見えていない場合に、それを見せてあげることができるツール」というところにあります。
曇ったメガネではモノの本質を見通すことはできませんから、メガネの曇りを取り除くことが必要で、管理会計はその役割を果たす「そこそこ使えるツール」なのです。
管理会計の本質を押さえて使いこなせば、ビジネスは全て上手くいくといった書籍が多く出回っていますが、そのようなことはありません。管理会計だけでビジネスが上手くいくのであれば、公認会計士が顧問をしている中小企業は全部良くなっているはずです。
つまり、ここがとても重要なのですが、管理会計はあくまで見えるはずのものが見えていない場合に効力を発揮するツールであって、ビジネスの実態そのものを良くするものではないのです。
「ビジネスの実態を改善する機能」は持ち合わせない
金融機関はどうもこの管理会計的な話がとても好きなようで、管理会計の手法を用いた業績改善にはすごく興味を持ちますし、評価をします。それは、分かりやすいロジックの世界だからです。
後述しますが、金融機関の方に感覚、直観的な世界の話をしても、「この人、何を言うてるのん?」とキョトンとした顔をする方が大半です。「無意識の世界を意識の世界に持ち込んで言語化する、雲を掴むような話」なので、全く理解できず居心地が良くないのだと思います。
世の中に広く出回っている問題解決の書籍なども因果関係を重視したロジックの世界の書籍が大半です。
そのような環境ですから、事業再生に携わる関係者がロジック重視になってしまうのも理解できますが、ロジックは万能ではありません。ロジックの王道の管理会計は役立ちますが、万能ではないのです。
メガネの曇りを取り除くことが管理会計の本質であり、ビジネスの実態をさらによくする機能は持ち合わせてはいないのです。