客観性が高いツールは「説得」には役立つが・・・
私たちはロジックの世界とセンスの世界を行き来しながら日々生活しています。2つの世界を漂いながら生きているのに、ビジネスの世界では未だロジックだけで回そうとしています。なぜならロジックの世界は分かりやすく、何より楽だからです。
ロジックの代表選手である「数字」はとにかく明快です。「1」はどこから見ても「1」であって、「3」や「5」にはなりません。そこにセンスの入り込む余地はありません。「1」は万人にとって「1」なので客観的な共通言語として最高のツールです。数字を見せることができれば「ぐうの音も出ない状況」が容易に作り出せるわけです。
客観性が高いツールには説得しやすいという特性があります。説得する側は、根拠として明快な数字を示せばよいし、説得される側は数字の説明で理解した気になりやすい。何しろ後で弁明が立ちやすいのです。「この数字を示されたら納得せざるを得ない」と、ある意味責任転嫁がしやすく非常に楽なのです。
因果関係だけを重視した捉え方では「手詰まり」に!?
注意してほしいのはロジックの力を軽視しているわけではないということです。この連載でいくつか例示しますが、ロジックはしっかり使えば非常に強力なツールになります。因果関係で示される世界は美しく、意思決定の拠り所になり得ます。
しかし、特に成熟化して久しい日本のような市場では、ロジック一辺倒で打開できない状況が非常に多くなっています。因果関係だけを重視した捉え方だけでは手詰まりの状況が非常に多くなっているのです。