繊維柱帯を切除しない手術法「エクスプレス」とは?
Q:線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)、エクスプレスという術式をすすめられました
A:エクスプレスはトラベクレクトミーの強膜を通して結膜下に房水を流す部分に使用するインプラントです。従来のトラベクレクトミーでは、白目の組織や線維柱帯を切除するため、出血が起こったり、切除部分が大きすぎて眼圧が下がりすぎることがありました。エクスプレスは、切除せずともバルブを刺して房水の通り道をつくってあげる方法です。
長期的な海外の成績では、眼圧に関してはトラベクレクトミーと同等と報告されています。エクスプレスは手術中の合併症が少ないですが、日本では未認可手術なので、十分に医師と話し合うことをおすすめします。
乱視の増加や視力低下も…懸念される手術後のリスク
Q:最近視野狭窄が中心部まで進み、昨年右目に線維柱帯切除術を受けました。左目も切除術をすすめられていますがリスクが心配です。手術を受けるべきでしょうか。
A:線維柱帯切除術(以下トラベクレクトミー)の術後は乱視の増加や一時的な出血、また低眼圧黄斑症といって眼圧が下がりすぎた場合なども含めて、30%程度は視力が低下するという報告もあります。
トラベクレクトミー後は「濾過胞(ろかほう)」ができますが、その中で最も重篤なものが濾過胞感染眼内炎です。
医師は現在の患者さんの視機能、治療を行った場合のリスクと効果、治療しなかった場合に予想される視機能など、さまざまなことを考慮して手術をすすめますが、手術を受けるか否かの最終決定権はあくまで患者さんです。