長い時間をかけ、少しずつ見える範囲が狭まる緑内障
緑内障とは、目から入ってきた情報を脳に伝達する視神経という器官に障害が起こり、視野が徐々に狭くなってくる病気のことです。
眼球の丸い形は適正な「眼圧」によって保たれています。眼圧は房水という眼球の中を循環している液体でコントロールされているのですが、この房水の循環がうまくできなくなってしまい、眼圧が高くなってしまうことが緑内障の原因です。高くなった眼圧がゆっくりと視神経を圧迫して、障害を引き起こしていくのです。
長いケースでは10年くらいの時間をかけて少しずつ見える範囲が狭くなっていきます。自覚症状を感じにくいのでやっかいなのですが、長期間放置してしまい、治療が遅れると失明にいたることもある病気です。
細かい活字が読みにくい等、不安があればすぐに受診を
私の所を訪れる患者さんの中にも「緑内障かも?」と迷っている間に受診する機会を逸して治療開始が遅くなる人が多いです。
新聞や本、時刻表などの細かい活字が読みにくくなった。パソコンのマウスを動かしたときによくカーソルを見失ってしまう。このような場合はもしかしたら緑内障の進行をしらせるサインかもしれません。しばらく改善がみられなかったら一度眼科を受診することをおすすめします。
緑内障の有病率は年々増加傾向にあり、現在は40歳以上の17人に1人が緑内障です。特殊な病気だと思わずに、40歳を超えたら最低でも年に1度は眼圧、眼底、視野の検査をしてください。「失明につながる病気」と聞くと怖くなってしまうかもしれませんが、定期的に検査を受け、早期発見できれば失明にいたることはありません。
[図表]緑内障の見え方の変化