増加するコインランドリー店…競争はますます激しく
コインランドリー経営には、商品知識も労務管理も必要ありません。基本的に「広い」「明るい」「きれい」なお店なら8割は成功するでしょう。つまり、参入障壁の非常に低いビジネスといえます。実際に最近急激に競合店が増えてきました。
実は、そのきっかけをつくったのは、私たち自身かもしれません。2015年あたりから、複数の店舗へテレビ取材の依頼が続き、NHKやTBSテレビなどの全国ネットの番組で10回近く紹介されたのです。
皆さんの中にはご覧になった方もいるかもしれませんが、「女性客が増えている」「羽毛布団や犬も洗える」「メールで洗濯終了をお知らせする」といったことを紹介した内容でした。つまり、簡単にまとめると「最近のコインランドリーは以前の暗いイメージではありません。進化していますよ」ということです。
テレビで紹介された反響は予想以上に大きいものでした。特に毎週日曜日に特定のテーマに沿って経済やお金についての情報を伝える番組で「今のコインランドリーは勢いがありますよ!」といった紹介をされたときの反響は絶大で、消費者からは「うちの近所にありますか」「○○は洗えますか」「何時までやっていますか」といった問い合わせが殺到しました。また、北海道から九州まで全国各地のオーナー希望者から「私も経営したい」といった相談を受けることになりました。
コインランドリーは今後ますます増えていくでしょう。これは同時に差別化が難しくなることを意味します。
リピート率を左右するのは「トラブル解決」のスピード
私たちフランチャイザーは、オーナーの利益を守るのが使命です。ならばこの激戦の時代にどういう手を打てばいいのか?
現在業界でもっとも注目されているのは、機械の遠隔操作などができる最新ITシステムの導入です。しかし、私はこの傾向には疑問を持っています。お金をかければいい、という考え方は安易で、消耗戦につながります。なによりお客様が求めているのは、そこではありません。
お客様が「広い」「明るい」「きれい」の先に求めているのは「スピード」そして「安心」です。
全国展開をしている機械メーカーやフランチャイザーの多くは、本社やメンテナンス部隊を東京都に置いています。この場合、たとえば九州で機械の故障が発生してもすぐには駆けつけることができません。多くの場合は、1〜2週間後にやってきます。なぜなら、人件費や交通費の都合で周辺エリアのお店のトラブル対処とまとめて行うからです。
この1〜2週間、機械はまったくお金を稼いでくれません。オーナーから見れば無断欠勤を続ける従業員と同じです。
お客様から見てもどう感じるでしょう。先週故障していた機械が今週も故障していると「やる気のないお店だな」と思うのではないでしょうか。
私たちの店舗では、そのような事態にならないよう全店にインストラクターがいます。少なくとも毎日朝の9時30分から12時までは故障やトラブルにすぐ対応できるのです。
たとえば、前述のように洗濯が終了しても扉が開かないようなケースでは、多くの場合わざわざメーカーのメンテナンス担当を呼ばなくてもその場で解決することが可能です。
また、お客様の多くは「時短」を目的に来店します。それなのにトラブルとなったらイライラするのは当然です。そのようなときも明るく誠実なインストラクターが迅速に対応すれば、怒る気持ちも落ち着くのではないのでしょうか。このことがお客様の安心感につながるのです。
インストラクターがいない時間帯は、本部のコールセンターで対応し(9時〜18時。それ以外は留守番電話対応)、すべての店舗内の目立つ場所にこの電話番号が掲示されています。
そして、より迅速に対応するために私たちは、出店エリアを本部から車で1時間から1時間30分のエリアに限定しています。
突然のトラブルに迅速に対応するには、これくらいの距離が限界です。トラブル発生の連絡が入れば、原則として当日中に本部内に複数名常駐しているメンテナンススタッフが駆けつけます。
もし、部品の在庫がない場合でも、当社のメンテナンススタッフによって、メーカーからすみやかに取り寄せるシステムがあります。このようなメンテナンス体制によって故障した機械が「故障中」になるのを最短にするように努めています。
以上のようなスピード感を背景とした「いつ行っても故障している機械がないという目に見える信用」、そして「毎日インストラクターがいるという安心感」が合わさることで競合店との差別化が図れ、リピート率の向上につながるのです。