常勤医のみを集計すれば、現在の医師数より1割減!?
医師や看護師の人数を国はどのように算出しているのでしょうか。医師については、免許登録ベースの人数を把握しています。
そのため、年齢は考慮せずに需給バランスが適切かを判断します。しかし、80歳以上の医師は、免許状はあっても、ほとんどは働いていないかパートなどでしょう。常勤医師のみを対象とすれば、実態的には現役で働いている医師の数は1割以上は少なくなるのではないかと考えられます。また、地域ごとの医師数の差(医師の偏在)も大きな問題です。
看護師の需給も見直してはいるようですが、医師と同じく年齢を考慮した常勤看護師の数で割り出せば不足していることは明らかです。
ちなみにこの「看護師」については、病院では「准看護師」はこの数には入りません。准看護師の資格職種は不透明で、医師、看護師の指示のもとに看護を行うとなっておりながら、看護師と同等の働きを求められる状況も早急に改善されなければなりません。
わたしはこの問題を解決すべく、以前に全日本病院協会看護対策委員会で、500床以上持っている病院、または医療法人は必ず看護学校を持つように要望しておりましたが、いまだ実現していません。准看護師の問題については後述します。
高額な医療機器、高価な薬剤も医療費を圧迫
医療費高騰の原因は高齢化のみが強調されがちですが、実際には医療技術の進歩や高額医療機器の進歩も大きな割合を占めています。
医療技術の発展、特に外科手術に関しては内視鏡手術のみでなく、心臓をはじめ、肺、肝臓、腎臓、膵臓など各種臓器移植といった高度な治療が始まっています。
MRIやCTなど高額医療機器による診断技術の進歩、さらに、薬剤に関しても高価な分子標的薬などの抗がん剤、免疫抑制剤などが出現してきています。
これらの費用をすべて公的な医療保険で賄うのは、患者及び企業負担である保険料の上昇や国の負担を考えれば無理は目に見えています。保険料の上昇は無保険者の増加や、保険料を支払えない企業の増加につながり、やがては国民皆保険の崩壊につながりかねません。
すべての医療技術について、費用対効果はもちろんですが、患者、企業負担、および国の保険財政、経済的負担も考えなければならないでしょう。
今後、医療の進歩を考えれば、ある程度の自己負担はやむを得ないでしょう。異論はあるかもしれませんが、他の先進国のように、人工透析、人工心臓など特定の治療には年齢制限の必要性も考えられます。医師のモラルも問われるでしょう。