購入派と賃貸派、それぞれ意見はあるが・・・
山田:次は不動産についてなのですが、まずは定番の問題から聞きたいと思います。
高橋:家を買ったほうが得か、賃貸のほうが得かという問題ですね。
山田:僕は3年前に家を購入しちゃったので、家を買ったほうが得だと思い込みた
い気持ちも正直ありますが、率直な意見をお伺いしたいと思います。
高橋:この問題については、いろいろな方が購入派と賃貸派の意見を言っていますよね。購入派の意見は、「不動産は自分のものなので、資産形成になる」「家賃を払うよりもローンを返済するほうがいい」というものではないでしょうか。
山田:まさにその通りです。家賃がもったいないというのが僕の一番の意見ですね。
高橋:逆に、賃貸派の意見は、「生活の変化に合わせて柔軟に対応できる」ということだと思います。
山田:それはそうなのですが、「将来、住むところがなかったらどうしよう・・・」という不安が強いんですよね。
高橋:多くの人がそうだと思います。ただ、家を購入しても、本当に持ち家は資産なのか、つまり資産価値があるのか、疑問を持ったほうがいいと私は思っています。
山田:価値がなくなるってことですか?
高橋:一般的には、新築マンションを購入すれば、その瞬間に価値が2割くらい減ってしまいます。買った値段で売れるわけではありません。よく新築プレミアムと言われるのですが、新築のときは販売会社が広告費などを上乗せするので、通常の資産価値よりも高い値段設定になっているからです。
山田:なかなか新築には手を出せなかった・・・です(もちろん中古)。
高橋:特に都内の新築はそうですよね。例えば35年後に住宅ローンを払い終わったとき、どれだけの価値が残っているのでしょうか。売りに出したらどのくらいの値段になるのか、修繕などにどれだけの追加コストが発生するのか、人に貸すにしてもどのくらいの賃料で貸せるのか不明です。下手したら、新築時に購入した金額の半分くらいの値段になる可能性もあります。購入金額が4000万円だったのに、市場に売りに出したら2000万円程度しか値段が付かないということもありえます。
資産価値を維持するには「追加コスト」が必要に
山田:半分になっちゃうのは嫌ですけど・・・、でもローンを返済しちゃえば、タダで住めるわけですよね?
高橋:ただ、修繕費などはかかりますよ。マンションであれば、修繕積立金が毎月かかりますし、戸建ての場合であれば、水回りや外壁、屋根の修繕など、それこそ何百万円単位のコストがかかります。
山田:確かにローンを払い終わったら終わり、ではないですもんね。
高橋:ある意味、家を買うというのは、家賃を前払いしていることですので、別に資産がプラスになるわけではない、とも考えることができます。
山田:ということは、賃貸でもいいということですか?
高橋:もし老後を夫婦2人で暮らすのであれば、賃貸で気軽に好きなところで暮らすほうがいいかもしれませんね。現役時代は職場の近くに借りることもできますし、子どもが小学生になるころには小学校の学区で住む場所を選択できます。子どもが独立したら、夫婦2人で暮らすのにちょうどいい広さのマンションに移り住むこともできます。
山田:そう言われると、確かにそうなんですけど・・・。
高橋:もしマンションを購入した場合、管理費と修繕積立金を併せて毎月数万円も支払わないといけない場合もありますし、当然ながら固定資産税も支払わなければいけません。便利なところ、好きなところに賃貸を借りるほうがいいという考え方もあるわけです。
山田:なんだか自由な感じがしますね。
高橋:つまり、家を持つということは、不動産としては残るけれど、負債にもなりますし、資産の価値を維持するために追加のコストも払わなければいけない、ということです。住宅ローンを払い終わったら資産が残るとは言いますが、本当にプラスになるのか、実はよくわからないですし、逆にマイナスになる可能性もあるということです。