前回は、顧客本位の業務運営を確立するための「4つの方策」を解説しました。今回は、「顧客本位の業務運営に関する原則」の定着に向けた取組みについて見ていきます。

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現場任せにしない「顧客本位の業務運営」の確保

今回は、金融事業者の業務運営の現状と課題、定着にむけた取組みについて見ていきましょう。

 

金融庁は、「顧客本位の業務運営に関する原則」の確定版とあわせて、「『顧客本位の業務運営に関する原則』の定着に向けた取組み」を公表しました。

 

「原則」の定着の重要性


●「顧客本位の業務運営に関する原則」を確定したが、今後は「原則」の定着に向けて各金融事業者が実効的な取組方針を策定し、実践していくよう、取組みを進めていくことが必要である。

 

●その際、金融事業者による取組みが形式的なものに止まることなく、金融事業者がより良い金融商品・サービスの提供を競い合うといった、実質を伴う形での定着が重要である。

 

「原則」を踏まえた金融事業者の行動

 

現場レベルに任せることなく、経営トップ、マネジメント層がリーダーシップを発揮し、「顧客本位の業務運営」を確保すべきであると強調しています。


●各金融事業者においては、顧客本位の業務運営を確保するために、経営トップのリーダーシップの発揮、マネジメント層における業務計画等の策定・実施、フォローアップ、現場レベルでの実践を通じた浸透、フィードバックなど、それぞれの段階に応じた適切な行動が求められる。


●その際、金融事業者は自らの取組みが実質を伴う形で定着しているか、仮に実質を伴っていないとすればどの段階でうまく機能していないのかを分析し、経営トップの責任において改善がなされるべきである。

 

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FD宣言した金融事業者にも大きな進展は見られず・・・

顧客による主体的な行動、当局の役割等


●より良い取組みを行う金融事業者が顧客から選択され、これを踏まえて金融事業者が自らの業務運営を不断に見直していく、という好循環が生まれるためには、顧客が主体的に行動することが重要であり、金融事業者の取組みの「見える化」や顧客のリテラシーの向上が求められる。


●また、顧客の主体的な行動を補完するものとして、当局による適切なモニタリングや第三者的な主体による評価、顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化等も有効である。

 

金融事業者の業務運営に関する現状認識

 

フィデューシャリー・デューティー宣言を行った先であっても、顧客本位の業務運営の実現に向けて現状、大きな進展は見受けられないと指摘しています。

 

●投資対象を特定の種類の資産に限定したテーマ型の商品が、依然販売額上位の銘柄の多くを占めている。


●投資信託の販売額と解約・償還額は、ほぼ同額である状況が継続しており、残高の増加には貢献していない。


●売れ筋投信の9割が毎月分配型であり、特に地銀では積立投信であっても販売額の半分以上を毎月分配型が占めている。

 

[図表]「顧客本位の業務運営に関する原則」の定着に向けた取組み

出典:金融庁レポート 平成29年3月「顧客本位の業務運営に関する原則」の定着に向けた取組み
出典:金融庁レポート(平成29年3月)

 

金融庁のレポートから、フィデューシャリー・デューティー宣言を行ったあとも、営業の現場では引き続き、テーマ型、毎月分配型の販売が多く見られ、投信の乗り換えにより残高が増えていない実態が明らかになっています。特に、地方銀行の販売姿勢に苦言を呈しています。今後も具体的な事例を挙げ、継続的な報告、指摘を行う姿勢が感じられます。

 

次回は「顧客本位の業務運営に関する原則」の定着に向けた具体的な取組みについて説明します。

 

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本連載は、一般的な投資信託の仕組みなどを紹介することを目的にしています。投資を促したり、筆者が所属する「幻冬舎アセットマネジメント」に勧誘することを目的としたものではありません。また、投資にはリスクがあります。リスクに十分に考慮をして、投資判断を行ってください。本連載の内容に関して投資した結果につきましては、著者及び幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。

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