前回は、財務の健全性を保つ「損益計算書の分析」のポイント について説明しました。今回は、「企業の「キャッシュフロー計算書」のチェックポイントを見ていきます。

損益計算書には出てこない「3つのキャッシュフロー」

キャッシュフロー計算書は、損益計算書には出てこないお金の流れを的確に把握することを目的としており、具体的には以下の3つのキャッシュフローが取り扱われています。

 

●営業活動によるキャッシュフロー(営業キャッシュフロー)

会社の本来の営業活動から得られた現預金等の量を示すもの

 

●投資活動によるキャッシュフロー(投資キャッシュフロー)

会社が投資した資金を示すもの

 

●財務活動によるキャッシュフロー(財務キャッシュフロー)

借入と借入金の返済、配当支払い等を示すもの

CF計算書のバランスが悪い箇所=財務の改善箇所

本業でキャッシュが生まれている場合には営業キャッシュフローがプラスに、設備投資等が行われている場合には投資キャッシュフローがマイナスに、金融機関等から借入が行われている場合には財務キャッシュフローがプラスとなります。

 

たとえば、設立したばかりの会社はまだ業務活動を本格的に行っていないので、営業キャッシュフローは少なく、初期の設備投資が多いので、投資キャッシュフローはマイナスの状態でしょう。さらに、通常は銀行などからお金を借りているでしょうから、財務キャッシュフローは増加しているはずです。

 

そして、会社が成長するにつれて営業キャッシュフローが増えていき、設備投資を行わなくなると、投資キャッシュフローのマイナスが小さくなり、また借入の返済が進めば財務キャッシュフローがマイナスになっていきます。

 

成熟した企業の場合には、営業キャッシュフローがプラス、投資キャッシュフローがマイナス、財務キャッシュフローがマイナスの状態が財務的には最もバランスが良いといえます。本業で十分なキャッシュが生み出され、それをもとに投資が行われ借入金の返済もできているという、企業として理想的な形だからです。

 

「わが社は営業キャッシュフローがマイナス、投資キャッシュフローがゼロ、借金が増えて財務キャッシュフローがプラス」などというように、キャッシュフロー計算書の中にバランスが悪いところがあれば、その改善を進めることにより、望ましい財務のあり方を実現できるはずです。

 

[図表]キャッシュフローの例

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

大磯 毅/中山 昌則

幻冬舎メディアコンサルティング

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