「アンケートをとる」という使い方は間違い?
「する」のか「とる」のか?
「アンケートをとる」という言い方をしたり聞いたりしたことはないだろうか。もちろん間違った言い方ではないのだが、「アンケートをする」が自然な言い方だとされているのである。
アンケートはフランス語enquêteからで、もとの意味は調査、問い合わせのことである。つまり、「調査」の意だから「調査をする(行う・実施する)」という言い方が普通で、同様に「アンケート」も「アンケートをする(行う・実施する)」の方が自然だというわけである。
だが実際には「アンケートをとる」という言い方はかなり広まっていると思われる。筑波大学・国立国語研究所・Lago言語研究所のコーパスで検索しても、「アンケートをとる(取る)」の頻度数は1162である。これに対して、「アンケートをする」は283、「行う」は589、「実施する」は1018で、単独では「アンケートをとる」が一番多いのである。
「アンケートをとる」という言い方が生まれたのは、「とる」が数量を測る、調べるといった意味で使われた「統計をとる」などに引かれた可能性が高い。話しことばではあまり違和感なく使われているが、やはり改まった文章などでは使わない方が無難かもしれない。
配布する場合は「枚」、電話の場合は「回」と勘定
また、アンケートの原義は「調査」なので、「アンケート調査」は重複表現だという考え方もある。そのためNHKでは、「アンケート調査」を認めつつも、使用には注意するようにとしている。
ちなみに、「アンケート」をどのように数えるかを記載した面白い辞典があるので紹介しておく。
『数え方の辞典』(飯田朝子著、小学館)という辞典で、「配布するものは『枚』、回答を得て回収するものは『通』で数えます。電話やインターネットでのアンケートは『件』『人』で回答数を数えます」とある。「アンケート」の数え方なんて考えたこともなかったので実に新鮮であった。この辞典はものの名称からその数え方を知ることができる、読んでいて楽しい画期的な辞典である。
□揺れる読み方