床面積25㎡も…単身者の増加で小面積の物件が人気
ベトナム建設省は、ホーチミン市のダットラン(Dat Lanh)不動産社に25㎡商業マンションの建設を認可しました。2005年の住宅法では1戸の床面積は45㎡以上となっていましたが、2015年の住宅法改正では最小面積の規制は廃止されていました。建設省では都市部のニーズの変化により、外国でも認められている小面積で1~2名程度で居住ができる物件を認可したと説明しています。
ベトナムの経済発展が進むなか、大都市での産業の発達により、人口の移動も顕著になっています。地方から出てくる若者も増えていることから、小面積の物件にも人気が集まるようになりました。近年不動産価格が値上がりしており、家賃も上昇していることから、面積は小さくても手ごろな家賃の物件に人気が出はじめているようです。
現在、販売されているものは、小さくても50㎡程のものが多いので、海外投資家からしても購入しやすくなり、一段と海外投資家の購入が進む可能性が高いでしょう。
近年の不動産バブル以後、開発事業者の動きは慎重に
外国人にも関心が高まっているベトナムの不動産市況ですが、少し過去にさかのぼって変化を見ていきましょう。
ベトナムの不動産が著しく高騰したのは、ベトナムが世界貿易機関(WTO)に加盟した2007年前後からです。ベトナムが世界標準の取引をする国になったことの信用から、海外直接投資(FDI)が急増しました。それを受けて、外資のベトナム進出が急増しました。ベトナムの国営企業は、これをチャンスとみて不動産ビジネスに参入した結果、急激な不動産の高騰に見舞われました。
ところが景気の高騰で、結果的に輸入の急増など外貨準備を逼迫する事態となり、通貨危機の発生を阻止するため、中央銀行であるベトナム国家銀行は金融引き締め政策を採りました。それを起因として、ベトナム不動産のプチバブルは崩壊し、不動産価格の下落を生みました。それを受けて政府は、一部止まっていた不動産開発を再稼動させるために、2015年、投資法、不動産事業法、住宅法を改正したという経緯があります。
その結果、ベトナム不動産は徐々に上昇し始めているというのが、現在の状況だと言えるでしょう。あまりにも急激過ぎる開発増加には問題がありますが、近年の不動産バブルの反省からか、不動産開発事業者には比較的慎重に開発を進めている気配が感じられます。国民の平均年齢がまだ30歳と若い国でもあり、ある程度自制心を持った開発が行われれば、不動産価格は徐々に上がっていくものと思われます。