自己負担割合は10分の1でもOKだが・・・
前回の続きです。
●日本公庫は起業家を支える強い味方
日本政策金融公庫というのはあまり聞き覚えがないかもしれませんが、国民生活金融公庫や中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫などを統廃合し、2008年に設立された政府全額出資の金融機関です。略称は日本公庫。
この日本公庫の「新創業融資制度」は、新たな産業の育成のため起業家への融資を積極的に行なっています。一般の銀行などが貸し倒れのリスクを恐れて消極的なところをカバーする存在であり、起業家にとって心強い融資制度です。
自己資金の割合についても10分の1でOKです。一般的に自治体の創業融資では2分の1が求められることを考えると、日本公庫のほうが格段に大きな額の借り入れができる可能性があるのです。だからといって借りられるだけ借りようとは思わないように。返せなくなります。
やはり自己資金の割合は、3分の1から2分の1を目安にしましょう。たとえば起業に必要な資金が900万円の場合、次のように考えます。
・自己資金が3分の1 300万円(自己資金)+600万円(借入)→900万円
・自己資金が2分の1 450万円(自己資金)+450万円(借入)→900万円
日本政策金融公庫のHPに掲載されている活用の条件等
【「新創業融資制度」を活用しよう】
⃝利用できる方
以下の1〜3のすべての要件に該当する方
1 創業の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後、税務申告を2期終えていない方
2 雇用創出、経済活性化、勤務経験または修得技能の要件
次のいずれかに該当する方
(1)雇用の創出を伴う事業を始める方
(2)技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める方
(3)現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方で、次のいずれかに該当する方
(ア)現在の企業に継続して6年以上お勤めの方
(イ)現在の企業と同じ業種に通算して6年以上お勤めの方
(4)大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上お勤めの方で、その職種と密接に関連した業種の事業を始める方など
3 自己資金の要件
事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業時において創業資金総額の10分の1以上※の自己資金を確認できる方
※「10分の1以上」は形式的な要件で、実務上は3分の1くらいあるのが望ましいです。
⃝使いみち
事業を開始するとき、または開始後に必要となる事業資金
⃝融資限度額
3000万円(うち運転資金1500万円)
※3000万円はあくまで形式的な限度額。1000万円を超えると一気にハードルが上がります。
⃝返済期間
設備資金20年以内/うち据置期間2年以内
運転資金7年以内/うち据置期間2年以内
⃝利率
年利2.4%程度(ただし、ケースにより異なる。平成29年8月1日現在。毎月変動)
*女性、若者/シニア起業家支援資金を利用した場合、2.0%程度(女性または30歳未満か55歳以上であること。平成29年8月1日現在。毎月変動)
⃝担保・保証人
不要
(日本政策金融公庫のHPより)