今回は、日本政策金融公庫や自治体から創業融資を受ける際の手順を見ていきます。※本連載は、起業コンサルV-Spiritsグループの代表・中野裕哲氏の著書、『50歳からの起業術』(大和書房)より一部を抜粋し、シニア起業に必要な資金の調達方法について具体的に紹介します。

面談は、融資担当者と起業家の「1対1」

融資を受けるまでには、何段階もの手順を踏みます。用意する書類も多く、慣れない複雑な作業が求められます。借りたい額がわずか50万円という場合なら、そのためにどこまで時間をかけるのか、そこまでして借りる必要が本当にあるのか、再検討したほうがいいでしょう。その労力を新事業に集中し、借りずにすむ工夫をしたほうがいいケースもあるからです。融資を受ける手続きは、それほど煩雑なのです。

 

●公庫融資では書類と面談が必須

では、まず日本公庫での申し込みから融資を受けるまでの流れを簡単に見ていきましょう。

 

【日本政策金融公庫で創業融資を受ける場合】

 

①公庫の支店窓口に相談に行き、パンフレットや申請書類などを入手する

②公庫指定の創業計画書、根拠となる事業計画書を作成する

③借入申込書に記入し、指定された添付書類などを準備

④生活衛生事業の場合(飲食業、美容業など)、都道府県知事の推薦状を入手する

⑤公庫の支店窓口に借入申込書、添付書類を提出する(正式申し込みの完了)

⑥面談に持参するよう指定された資料をそろえる(源泉徴収票、住宅ローンの返済明細表、固定資産税の領収書など)

⑦融資担当者との面談(⑤の1週間くらい後)

⑧審査結果の通知がくる(⑦の3日~3週間後)

⑨審査に通った場合、公庫の支店で金銭消費貸借契約書の契約手続きを行なう

⑩融資の実行(⑨から2、3日後)

 

⑦の面談では、ビジネスモデル、自己資金、資金の使いみちなどの質問を受けます。融資担当者と起業家の1対1の面談であり、専門家など第三者の同席は基本的に認められていません。担当者は起業家の人となりを見極めようとします。経営者にふさわしい、信頼できる人物であるかどうかを判断しますから、身なりや話し方、態度には気をつけてください。

 

痛いところを突かれても、決して嘘をついたり、ごまかしたりしないように。融資担当者はその道のプロですから簡単に見抜かれます。言い訳めいたことを言うと、信頼できない人物、不誠実な人物という印象を与えてしまいます。

金融機関・信用保証協会の審査も必要な自治体融資

●自治体の制度融資は時間がかかる

 

次に、自治体の制度融資の流れを見ていきます。

 

【自治体から創業融資を受ける場合】

 

①自治体の相談窓口で相談。申込書を入手する

②自治体に融資の斡旋の申し込み

③自治体から斡旋書が交付される(郵送など)

④選択した金融機関に融資の申し込み

       ↓

(金融機関は信用保証協会に信用保証を申し込み、協会側は金融機関に保証引受の可否を通知)

       ↓

⑤金融機関から融資実行の可否の通知がくる(自治体は金融機関から結果の連絡を受ける)

⑥金銭消費貸借契約書などを締結

⑦融資の実行

 

自治体と金融機関、信用保証協会の三者による審査を受けるため、それだけ時間がかかります。

50歳からの起業術 シニア起業と独立を成功に導く実践的ノウハウ61

50歳からの起業術 シニア起業と独立を成功に導く実践的ノウハウ61

中野 裕哲

大和書房

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