「マンションPBR」が高いほど物件の資産価値は大きい
前回の続きです。
次に、京都市内でマンションの資産価値の落ちにくい街はどこか、不動産調査会社・東京カンテイが公表しているマンションPBRのランキングから見てみましょう。
不動産市場の調査を行っている東京カンテイは「マンションPBR」という数値を定期的に公表しています。
マンションPBRとは、株価資産倍率(Price Book-value Ratio)をマンションに当てはめたものです。株価で言えば、1株当たりの純資産に対し、株価が何倍で買われているのかということですが、マンションPBRの場合は、中古マンション価格が新築マンション価格の何倍になっているかを過去10年の平均価格を元に計算したものを指します。
この数値が大きいほど、物件の資産価値が大きいと言えます。マンションPBRが1を超えれば、中古マンション価格が新築マンション価格を上回っている状態を示しています。
PBRが上がっているのは京阪線の「神宮丸太町」
図表を見てください。京都のマンションPBRトップは1.25倍の「神宮丸太町」、近年メキメキと頭角を現してきた地域です。対して田の字地区の「烏丸」は1.09倍の7位。これは、もともと地価が高止まりしている烏丸地区は中古と新築に価格差がそこまで表れない、つまり新築時からかなり高値がついていることを表しています。
一方で1倍を超えているわけですから、高値で手に入れても資産価値が全く落ちず、むしろ微量ながら上がっている、ということです。
丸太町エリアは地下鉄烏丸線を北上し、京都御苑にぶつかる交差点にある「丸太町」駅周辺です。このあたりも住宅、オフィスが集まっています。市中からは北上しており、広大な京都御苑もあるため、比較的静かな町並みと言えます。そこをさらに東に、鴨川の方に行くと京都大学の医学部があります。鴨川に沿って南北を結ぶ京阪線の「神宮丸太町」が近年PBRを上げてきているというわけです。
[図表]京都市の資産価値が落ちにくい街
「旧平安京」を収益物件の一つの購入基準に
2位につけた「東山」は地下鉄東西線の「東山」駅周辺。平安京基準で言うと鴨川を越えて現在の京都美術館付近です。3位につけた「今出川」は京都御所の北端、やはり昔の平安京よりもわずかながら北です。
東西に走る今出川通と、南北に走る烏丸通がクロスするあたりが今出川です。地下鉄烏丸線「今出川」駅を中心とするエリアで、駅を降りると同志社大学の赤れんがの校舎と、京都御所の広大な緑が目に入ります。
こうしてみると京都市も旧平安京を中心に徐々にドーナツ化現象のように地価の高騰が出てきているようです。ただし、あくまでマンションPBRは新築と中古の価格差を表したものですから、必ずしも長期的な視点での不動産投資のポイントではありません。今後も地価が上昇していく可能性は高いと言えますが、収益物件の購入基準としては、やはり平安京を一つの基準とするのがいい、と思います。